[東京 19日 ロイター] 今回の円高局面の原因は、欧州債務問題などの海外情勢にあるとの見方が多い。世界最大の対外債権国通貨としてのステータスを備える円が、その他通貨に比べて相対的に評価されているとの見方だ。 だが、一部では「金融緩和不足」や「通貨(マネー)の供給量が足りない」など、日銀の政策対応に円高の原因を求める声も散見される。その際、「通貨」や「マネー」の定義が曖昧なまま議論されているケースが多い印象を受けるが、こうした主張の正否に関し考察してみたい。 確かに1970年代、二国間の通貨供給量の格差に焦点を当て、為替レートの変動を説明する理論として「マネタリーアプローチ」という考え方があった。これは、為替レートは購買力平価(PPP)で決まり、内外の物価は貨幣数量説に基づいて決定されるという2つの前提を置いた理論である。