冷たい師走の風の中を、ゆっくり歩いて買い物に行く。まだ早い時間から店は混んでいて、気がつけば皆さん、動きがキビキビしている。 年の瀬の活気。どの顔にも「忙しい」と書いてあるようで、こちらも忙しくしていないと申し訳ないような、追い立てられるような気持ちになるからおかしなものだ。 それでも帰り道、いつも歩く川沿いの緑道で、ちょっとほっこりする出来事があった。 普段は見かけない野鳥を木立ちに見つけ、立ち止まって確かめようとしていたら、一人のご婦人に話しかけられた。 「あの。何かいるんですか?」 わけを話し、二人でしばらく木立ちを覗き込む。スズメより一回り小さな小鳥で、最初はシジュウカラかと思ったが、特徴のあるネクタイ模様がないと知り、しきりに枝から枝へ飛び回るのを目で追った。遠くへ飛んで逃げるわけでもなく、チチチと鳴き続けている。 「あ、ほら、あそこに。見たことないんですよ、なんていう小鳥でしょ