就職活動などで、「学生は安定志向だ」と耳にする。 もちろん、安定志向であること自体は悪いことではない。 だが、リスクもある。 「安定した生活」は、それを与える人間と、与えられる人間の間に主従関係を生み出す。 そして残念ながら、その関係は決して、対等なものとはならない。 歴史を見れば、それは明らかだ。 ***** クレオパトラを破り、新たにエジプトの王となった、帝政ローマの初代皇帝であるアウグストゥスは、エジプトの祭祀階級の権力を削ぐため、政教分離を試みた。 そして、アウグストゥスが非常に賢かったのは、政教分離を祭祀階級の「排除」に依るのではなく、うまく「コントロール」しようとした点だ。 排除をすれば当然反発がおこり、国内の政治は混乱する。そんな方法はとれない。 では、アウグストゥスは何をしたか。 アウグストゥスは彼らに「給料」という形で金を払った。しかも安定的に。 アウグストゥスは、祭司た