2022.06.07ためし読み エマニュエル・トッド、磯田道史が“衝撃”を受けた「日本の歴史人口学の父」速水融とは 文春新書編集部 『歴史人口学で見た日本〈増補版〉 』(速水 融) 出典 : #文春新書 ジャンル : #ノンフィクション 『歴史人口学で見た日本〈増補版〉』(速水 融) 本書の著者、速水融氏(一九二九―二〇一九)の生涯は、常に“学問”と共にあった。 そもそもが“学者一家の出”である。父、速水敬二(養子に出たので「速水」姓)は哲学者で、伯父、東畑精一は農業経済学者で、叔父、東畑四郎は農林事務次官を務め、叔母、喜美子は、哲学者の三木清に嫁いでいる。 戦時中に居候していた東畑精一の家には、政治学者・蝋山政道など「昭和研究会」のメンバーが出入りし、当時一五歳だった速水氏は、伯父から「この戦争ももうすぐ終わる。犬死だけはするな」と強く言われたという。また終戦直後の一九四五年九月には、三