安土桃山から江戸時代初期にかけて布教などの目的で印刷された「キリシタン版」と呼ばれる書籍の一つで、長崎で刊行された宗教書「金言集」が北京の国家図書館に保管されていることが14日、東京都の古書店・雄松堂の調査で分かった。 写真データで鑑定した上智学院理事長の高祖敏明・上智大教授(比較教育史)は「発見は絶望的といわれていた文献で希少だ。重要文化財級の価値がある」としており、中世から近世初期の宗教史、外交史の解明に大きな前進をもたらす貴重な発見といえそうだ。 高祖教授によると、金言集はポルトガル人神父が書いた宗教書で、信者が殺人を犯した場合にどう対応すべきかなど、日本で活動する司祭に具体的な助言を与える内容。イエズス会が持ち込んだ金属活字の印刷機を用いて刊行された。 金言集は1930年代に北京の教会に併設された図書館で確認されたが、その後、行方不明になっていた。今年3月、調査のため同図書館を訪れ