ハードやソフトなどテクノロジにかかる費用が、ここ10年横ばいであるのに対し、システムの開発費は減少し、運用費は8倍に増えている。それでも業務が破綻しないのは、社内に要件があるシステムは、ほぼ作り尽くしたことの表れだ。今後は、要件が見えづらいシステムの構築に乗り出さねばならない。[ディメンションデータジャパン シニアEAコンサルタント 入江 宏志] コンピュータが企業情報システムに利用されるようになってからの50年間、世界中のIT部門やITベンダーは、図1に示した「デマンド・ドリブン型」のシステムを開発・運用してきた。デマンド・ドリブン型とは、利用者の要求(デマンド)が決まっており、その要求に沿って決定したルールに基づいて動作する仕組みである。例えば、「喉が渇いた」という要求に対し、自動販売機のボタンを押せば商品が出る仕組みや、「現金で買い物をしたい」という要求に対し、ATM(現金自動預け払