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ブックマーク / kounomaki.blog.fc2.com (13)

  • 河野真樹の弁護士観察日記 法科大学院制度に「肩入れ」する日弁連の見え方

    12月1日に日弁連が開催を予定している「司法試験シンポジウム~法科大学院での試験・成績評価との関連を中心に」の内容が、日弁連のホームページに掲載されています。シンポでは法科大学院2年次の時点での学修成果を図る目的の期末試験で、どのような出題形式、分量、内容となっているのかとともに、年度司法試験の出題形式、分量、内容について分析する、としたうえで、次のように述べています。 「2年次の成績評価とその後の司法試験の合否との間の相関も分析することを通じて、法科大学院での学修の成果を図るという来の趣旨に近い司法試験にするには、法律基科目の学修が終了した時点での法科大学院の学修成果に何を、あるいはどのような内容を加味することが必要なのか、あるいは必要ないのか等、より踏み込んだ検討を行うことも含めて、標記シンポジウムを開催いたします」 この内容紹介、そしてその内容でのシンポ開催は、法科大学院制度に

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    tteraka 2018/11/01
  • 河野真樹の弁護士観察日記 オウム死刑執行への抗議と日弁連の存在意義

    オウム真理教の教団元幹部らへの異例の大量死刑執行の報が流れた直後から、ネット空間を中心に弁護士の間では、あることが話題となり、ざわつきはじめました。「日弁連はどうするか」「日弁連はどうせやるんだろうな」と。日弁連会長が、この執行に対して抗議声明を出すということ。それを当然と受けとめられない、あるいはその影響を気にする声が溢れ始めたのです。 そんな異論、懸念をよそに、予想通り、菊地裕太郎会長は執行された7月6日付けで抗議の声明を発表しました。 「犯罪により身内の方を亡くされた遺族の方が厳罰を望むことは、ごく自然なことであり、その心情は十分に理解できる。一方で、刑罰制度は、犯罪への応報であることにとどまらず、社会復帰の達成に資するものでなければならない。それが再犯の防止に役立ち、社会全体の安全に資することになる。人権を尊重する民主主義社会であろうとする我々の社会においては、犯罪被害者・遺族に対

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    tteraka 2018/07/10
  • 河野真樹の弁護士観察日記 司法試験合格判定への不安の本質

    2015年6月の、政府の法曹養成制度改革推進会議の方針決定に従い、事実上の「最低死守ライン」となっている司法試験合格者「1500人」への懸念が、弁護士会から示されています。法曹志望者の急減に歯止めがかからないなか、このラインを死守するために、合格ラインが引き下げられると、合格者の質が担保されなくなる恐れがある、だから、この「死守ライン」を優先させず、厳正な合格判定をせよ――。こうした趣旨の会長声明が、昨年来、埼玉、兵庫県などの弁護士会から出され、今年についても、京都弁護士会が昨年に続き、今月21日に会長声明を発表しています。 「死守ライン」が、意図的に優先され、質確保が前提とならないという疑義は、昨年の実績に対して、既に示されています。昨年、司法試験受験者が前年を932下回る5967人でありながら、合格者は40人減の1543人。受験者も合格者も減る中で、合格率は前年を2.91ポイント上回る

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    tteraka 2018/06/26
  • 河野真樹の弁護士観察日記 司法試験合格率「主因説」が無視するもの

    司法試験に合格できないからなのか、それとも合格しても、その先の魅力がなくなっているからなのか――。「改革」がもたらしている、法曹志望者減という深刻な事態に対して、新法曹養成制度が奇妙な袋小路から抜け出せなくなっています。奇妙という言葉をあえて使ったのは、これほど弁護士の経済的価値の暴落が明らかで、後者の理由は動かし難いのに、あくまで前者を理由とする声が強く言われている、つまり、こうした捉え方では、志望者減対策としては早晩行き詰まることは目に見えているのにもかかわらず、それが強調されている奇妙さです(「資格価値の暴落と『改革』への認識」)。 しかも、前者は正確にいえば、「合格させないから」という捉え方です。「できない」ことを法科大学院の責任ととらえるよりも、「不当に」難しい司法試験の責任にする論調が、さらに強まっている観すらあります(「新司法試験批判と法科大学院の認識の問題」)。 最近も、議

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    tteraka 2018/04/11
  • 河野真樹の弁護士観察日記 新司法試験批判と法科大学院の認識の問題

    今回の司法改革の結果として、新司法試験がここまで目の敵にされることを想定していなかった、という法曹関係者は少なくありません。どういうことかといえば、新制度が司法試験合格者を出せないという結果を招いた場合に、合格レベルに達している卒業生を出せない法科大学院側ではなく、合格させない司法試験側に責任がある、と、ここまでいわれる形になるとは考えていなかった、ということです。 確かに「点から線へ」といわれた、今回の「改革」の当初、その新プロセスのなかに「点」である司法試験を残すことを否定的にとらえる意見はありました。つまり、法科大学院制度が旧司法試験に変わる資格付与への完全な関門にならなければ意味がないし、新制度においても司法試験が法科大学院の価値を左右しかねない、と。 でも、当時、法曹界内の「改革」推進派でさえ、多数派は、司法試験をなくすという選択は、あり得ないととらえていました。増員政策を前提に

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    tteraka 2018/03/22
  • 河野真樹の弁護士観察日記 伝わっていない司法試験「選抜機能」の危機

    千葉県弁護士会の及川智志会長が9月13日付けで、今年の司法試験結果を受けた声明を発表しています。合格者数を1000人以下とすることと、予備試験合格者数を不当に制限しないことを政府に求める、という基的な要求は、2012年以来、毎年、司法試験結果を踏まえて、同会会長が声明として発表してきた内容と変わりません。ただ、今年の会長声明には、この要求の前に、次のような内容が加わっています。 「当会は、平成29年司法試験合格者数の決定にあたり『1500人程度』という政策上の人数確保ありきで『質の確保』という大前提が遵守されなかったのではないかとの疑義を表明する」 この内容が結果の何に注目しているのかといえば、12日に法務省が発表した今年の司法試験結果によると、今年の受験者は前年を932下回る5967人でありながら、合格者は40人減の1543人。受験者も合格者も減る中で、合格率は前年を2.91ポイント上

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    tteraka 2017/09/21
  • 河野真樹の弁護士観察日記 法科大学院関係者の「印象操作」から見えるもの

    ある職業の養成過程がどんなに充実しているとうたっても、その職業自体に魅力がなければ、その過程を人が目指さなくても当たり前です。養成過程とその職業は、一体となって、そのことを考えなくてはならないはずです。養成過程の負担がその職業につくメリットを上回ることも、養成過程を存続させるために、職業自体の現状を考慮しないという発想も、来、出て来ないはずと思えます。そして、今回の「改革」をめぐる法科大学院制度擁護派の発想をみていると、当初からこのことの根的な疑問に突き当たってきました。 繰り返し述べてきたように、現在法曹界が抱える志望者減の原因は、激増政策によって激変した弁護士の経済環境の不安定化、不透明化によって、経済的な意味での仕事の魅力が減退したこと、それに加えて、法科大学院修了の司法試験受験要件化による、その時間的経済的負担が、「価値」として見合わない、いわば妙味がないプロセスと判断されたこ

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    tteraka 2017/07/27
  • 河野真樹の弁護士観察日記 法科大学院制度にしがみつく虚しさ

    西南学院大学法科大学院の今年度の入学者が、遂に前年を12人下回る3人にまで落ち込んだことが話題になっています。2004年開校時の実に17分の1です。同大学院の入学者は2007年の63人をピークに下降していましたが、それでもなんとか二桁をキープしていました。受験者数も回復することなく、今年度は41人と開校時の約9分の1でした。18人が合格していますが、8割以上の人が併願している他校に行ったか、進路を変更したということになります。 法科大学院の入学者は、一部に下げ止まりもいわれてはいますが、立命館大学(前年比12人減) 、上智大学(同11人減) など、西南学院大学同様、昨年に比べて10人以上の下げ幅で入学者を減らしているところもあります。 「私たちも一生懸命やっている」という法科大学院関係者の声も聞きますが、非常な虚しさを感じます。教育の質や合格率の向上に、この制度を選択させる「価値」を見出し

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    tteraka 2017/04/30
  • 河野真樹の弁護士観察日記 京都弁、「法科大学院」会員アンケート結果から見えるもの

    法科大学院の現状を弁護士はどうみているのかーー。それを知るための貴重な資料となる会員アンケート調査の結果を、先ごろ京都弁護士会がまとめ、その報告をかねたシンポジウムが1日、京都で行われました。当日は、同会の白浜徹朗・法曹養成制度委員会委員長からの報告に続き、森山文昭弁護士が制度の現状と政府構想の問題点などについて、私が司法ウォッチャーの立場から問題提起を含めた講演をそれぞれ行いました。 ここ数年、講演などで各地の弁護士会に招かれると、担当の弁護士会関係者からは、法曹人口問題よりも法科大学院制度問題は、弁護士会のシンポや集会ではるかに取り上げにくいテーマであるという話を異口同音に聞くことがあり、講演内容に一定の配慮を求められたことも度々ありました。この問題について、会内の世論状況は、それだけ分裂しているということです。 そのなかで京都弁護士会がこの問題で、先進的ともいえる取り組みしている背景

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    tteraka 2016/11/08
  • 河野真樹の弁護士観察日記 「予備試験」が明らかにするもの

    11月5日に法務省が発表した今年の予備試験合格者は394人。受験者も2年連続1万人を超え、ますます予備試験が、かつての旧司法試験の様相を呈し始めている観があります。もちろん、予備試験はあくまで司法試験を受けるための試験ですが、新制度になっても旧制度同様の「狭き門」にチャレンジする形に、志望者は「価値」を見出している。いってみれば、これが新「プロセス」に対して下された利用者たちの「審判」といってもいいものです。 一方で、今回の結果を報じた6日付けの朝日新聞朝刊の記事は、相変わらずこの「審判」の不当性を刷り込もうとしています。「例外的な位置付けの試験」が「抜け道」になっている。政府方針でも制度創設の趣旨と現在の利用状況の乖離が問題視されている。法科大学院からも制限・廃止論が出ている――。 法科大学院道主義にとって、この予備試験の現状が、大変、都合が悪いものであることは、さんざんこうした論調に

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    tteraka 2015/11/07
  • 河野真樹の弁護士観察日記 法科大学院をめぐる「朝日」社説論調の苦しさ

    法科大学院について、朝日新聞が久々に6月17日の社説で取り上げています。しかし、その内容はいつもながら首を傾げたくなるものです。とりわけ、今回についていえば、現在の「改革」路線の無理と苦しさを、推進論調の中でさらしているという印象を強く抱かせるものでした。 校数の絞り込み、修了者7割合格に向って、年司法試験合格「1500人」を掲げ、合格不振校の強制閉校の措置も視野に、立て直しを目指す政府改革案。「確かに」入学志願者数は、落ち込んでいる。敬遠傾向の原因はカネと時間をかけても受からない法科大学院の現実と、受かっても就職難で将来の見通しがきかない業界の現実。社会のニーズを踏まえた合格者見直しも理解でき、受験要件化がある以上、法科大学院に合格実績が期待されるのは当然――。 さすがに「朝日」も、無視できない法科大学院をめぐる現実。しかし、ここまでの現状認識を示しながら、「朝日」は、このあとこれをなん

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    tteraka 2015/06/21
  • 河野真樹の弁護士観察日記 法科大学院制度「元凶」を伝えた経済誌

    「『士業』崩壊――えなくなった弁護士 会計士 税理士」。週刊東洋経済8月31日号が、こんなタイトルの特集記事を掲載しています。経済系の雑誌は、士業の経済的な異変・窮状には度々目を向けて、これまでにも各誌何回かそれを伝える特集を組んできました。とりわけ、弁護士については、既に2009年くらいから、「えない異変」に着目しています。ただ、今回の特集の「三大士業」のうち、冒頭に掲載されている弁護士編の記事を読むと、明らかにそのトーンが変わってきていることに気付きます。 それは、彼らが「改革」の失敗をより強く認識し、打ち出しているということです。当初は、彼らもまた、大方、このテーマでよく見かける、「改革」がもたらした異変と、厳しい現状を伝える一方で、それでも頑張る若手の姿を紹介したりしながら、「まだまだ」頑張れるというイメージ、活躍ができる場はまだあるはず、さらには企業系弁護士の「国際競争力」を

  • 河野真樹の弁護士観察日記 「和解」困難化の事情

    紛争解決に当たり、弁護士が一番苦労するのは、依頼者の説得であるということを、「弁護士の心労」というタイトルで、小野智彦弁護士が最近の自身のブロクで書いていらっしゃいます。和解という、いわば落とし所を、専門家として見極めた双方の弁護士が、回れ右して、それぞれ依頼者の説得を試みる局面。諦めの説得にならざるを得ないこの局面は、その提案の妥当性や、その紛争で当事者が抱えている現実によるとはいえ、弁護士に対する失望や、さらには、妥協が生まれる双方弁護士の関係への疑念につながりかねない場面であることは以前も書きました(「『弁護士次第』という疑念と誤解」)。 ところで、この小野弁護士のブログエントリーには、次のような気になる一文が出てきます。 「ひと昔前と比べると、代理人同士の信頼関係が薄れてきたこと、依頼者が弁護士のアドバイスを容易く受け入れないようになってきたこと、これらにより、圧倒的に和解率が下が

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    tteraka 2013/06/07
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