南シナ海の領有権をめぐる国際裁判で、中国の主張を無効とする判断が下ったが、判決直前の6月、中国は東シナ海で行動を活発化させた。そこには南シナ海への世界の関心をそらし、東シナ海の主権問題をアピールする思惑があると、元海上自衛隊幹部の香田洋二氏は指摘する。 南シナ海の仲裁裁判、中国に厳しい判決 南シナ海ほぼ全域に主権が及ぶとする中国の主張は国際海洋法条約に違反するとして、フィリピンが仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)に提訴した国際裁判の判決が、7月12日に下された。 仲裁裁判所は、中国が「歴史的権利」を主張する「九段線」に法的根拠がないと判断。同国の南シナ海での人工島造成を強く非難した。 判決前には東シナ海で行動をエスカレート 近年、南シナ海問題で国際社会から厳しい批判にさらされてきた中国政府は、判決が自らの立場を否定するものになると事前に予想し、裁判には従わない姿勢を示していたが、この数カ月間、