巨大ウイルス発見 【冨岡史穂】今夏、米科学誌サイエンスの表紙をウイルスの写真が飾った。仏エクス・マルセイユ大学ジャンミシェル・クラブリ教授らが見つけた巨大ウイルス「パンドラ」。ウイルスとしてはけた外れの大きさで、生物の常識を揺るがす発見という。このウイルスはいったい、どんなパンドラの箱を開けようとしているのか。 パンドラウイルスは、チリ中部の河口と、豪メルボルン近郊の浅い池の底で1種類ずつ見つかった。どちらも単細胞生物のアメーバに感染し、人間に害はないらしい。楕円(だえん)形で、長径が1マイクロメートル(マイクロは千分の1ミリ)、遺伝子の数は2500以上。最も小さい細菌「マイコプラズマ」より10倍も大きく、遺伝子数は5倍になる。 巨大ウイルスの発見はこれが初めてではない。元祖は2003年、米サイエンス誌で紹介されたミミウイルスだ。1993年に見つかった当初は、その大きさ(0・7マイク