日々報じられるニュースの陰で暗躍している諜報機関──彼らの動きを知ることで、世界情勢を多角的に捉えることができるだろう。国際情勢とインテリジェンスに詳しい山田敏弘氏が旬のニュースを読み解く本連載。今回は、SNSを舞台に暗躍して世界を混乱させる中国とロシアのSNS工作員について深掘りする。 「福島産の魚を食べた岸田総理が病院送りに」中国ユーザーによるXへの投稿 世界で50以上のアプリに潜む工作員ロシアによるウクライナ侵攻が始まってからすでに1年半が経過した。この武力衝突では、戦いの一環として「情報戦」が盛んに繰り広げられている。 そもそも戦争における情報戦は、今に始まったことではない。過去にも偽情報で敵を撹乱させることはあった。有名なケースが、第二次大戦のノルマンディ上陸作戦だろう。 この作戦を成功させた英国のウィンストン・チャーチル首相は、迎え撃つナチスドイツを欺くため、上陸作戦を実行する