我々は物事を判断し、何かを決定するときには、直感に頼ることもあれば、よく考えた上で決めることもある。このように人間の判断や決定は脳内の2つのシステムで担われていることが分かっている。これらは、心理学者や脳科学者によって、それぞれ「システム1」と「システム2」と名付けられている。 人の判断や決定は2つのシステムが担う システム1は、直感や感情に基づくものであり、「反射システム」と呼ばれることもある。システム1は、無意識のうちに自動的に発動し、素早く、労力をかけずに、判断を下し、同時並行で複数の作業をこなせる(マルチタスク)。システム1には、知覚と記憶という完全に自動的な活動も含まれる。 これに対してシステム2は、「思考システム」と呼ばれることもあり、思考・熟慮をつかさどる。システム2は、意識的にする必要があり、時間がかかり、労力やエネルギーを要する。また、一時に一つの作業しかできない(シング