何が人間を「正常」と決めるのか。人が「正常である」という規範的な考え方を受け入れるようになるのはどうしてか、それを強制するのはどのような種類の権力なのか。 ミシェル・フーコーは同性愛者であり、「正常である」ということについて悩み続けた哲学者だった。そして、フーコーは人間の「真理」や「本質」という考え方そのものを侵犯しようと試みる。 治療の逆説 フランスで狂人を監禁施設から解放したピネルという伝説的な人物がいる。彼のエピソードは事実の裏付けがない神話らしいが、多くの狂人を奇跡的な手際で監禁施設から救い出したと伝えられた。 自分のことを将軍だと信じきっている鎖に繋がれた狂人に、ピネルは自分の奉公人になってくれるなら鎖を解いてやろうかと提案する。すると奇跡が起こり、その狂人の中に忠実な召使の美徳が目覚めた。 ピネルが解放した患者は正気に戻ったわけではなく、ただ社会的なパターンに従って行動できるよ
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