タグ

ブックマーク / davidtakeuchi.typepad.com (17)

  • VC業は普通じゃない仕事

    8月20日のエントリ「VC業も普通の仕事」には、思いのほか多くのアクセスや反響を頂いた。色々とメールや口頭でご意見を寄せて頂いた方々に感謝申し上げる次第。今度は逆に「VC業は普通じゃない仕事」という題で思うところを少し書いてみようと思う。 が、その前に1つ。前回のエントリに頂いた反応の中に、「そこまでVC間の競合が激しいシリコンバレーは起業家にとって恵まれた環境だ」という内容のものが複数あったが、やや違和感を感じるFeedbackなので一応一言残しておきたいと思う。確かにシリコンバレーで出会った起業家の中にはじっくり投資家を選ぶ特権を持った者も沢山おり、VCとしてリターンを得るにはこのような「無理め」な案件で起業家に選んで貰うことが重要になるわけだが、一方で何ヶ月も何十社もVCを回っても全く投資資金が集められない起業家も多くいた。というか、大半の起業家はこちらの運命を辿っていたように思う。

  • VC業も普通の仕事

    に帰って来て、「シリコンバレーでVCをしていました」と言うと「ハンズオン投資ですか?」などと聞かれる場面がまだあり、この単語は懐かしいというか戸惑うというか。前に何度も書いたような気もするが、ハンズオン・ハンズオフという選択肢がVCにあると考えること自体がおかしな話である、ということを以下改めて残しておく。 まず前提として、どのような事業であっても利益の源泉は何らかの価値や機能の提供であり、その利益水準は発揮した機能の価値とその価値の市場での供給量(競合)等によって決まる。そして、VC業も無論営利事業なのであるから、この法則がそのまま当てはまる。売れる価値が無いと来VCも飯をうことは出来ないし、自分が投資出来るDealのQualityは自分が提供出来る価値のQualityとほぼ比例する。大した価値発揮もしていないのに投資「出来る」案件があるとしたら、それは元々儲からない内容のDea

  • シリコンバレーにいたメリットを再認識

    4月末に日に帰国し、連休明けから仕事を開始してから丁度2ヶ月が経過。日での生活にもすっかり慣れて違和感はほぼ消え、シリコンバレーでの日常を思い出す頻度も数日に一度程度に減衰して、そろそろやや思い出になりつつある。 仕事は、今後数ヶ月のスパンで自分が何にどういう優先順位で取り組むべきかという点を中心にほぼ固まり、無理めの目標設定も次第に見えて来て、大分エンジンがかかって来た。周囲の自分に対する認識も自己認識と摺り合って来て摩擦がほぼなくなり、過ごしやすくなって来た。いい感じで時間が無くなり、そろそろパンクし始めて充実した日々。悪くない。 日での仕事生活にエンジンがかかり始めるにつれ、逆に4年半の期間シリコンバレーにいた効用を随所に感じるようになって来た。まずは言葉の問題。日帰国後、電話会議等で米国企業と英語で話す際に言葉の壁が無いという直接的なメリットもさることながら、通常日語で仕

  • 日本の生活

    土曜日になった。水曜の夕方に成田に到着してから3日経過。 人間の適応能力とはある意味大したもので、今週前半にはSand Hill RoadてっぺんのRosewood Hotelに泊まってCheese Plateを肴にWineを開け、Portola Valleyの山並みを眺めながら去りがたきアメリカを思って感傷に浸っていたのであるが、帰って来たらこの3日間で早速日カレー、ハンバーグ、トンカツ、エビフライ、ラーメンを攻略してLunchやDinnerのうまさにいちいち身悶えしながら感動し、そして夜は毎日しこたま飲み、帰宅時には地下鉄で降りる駅を寝過ごして戻る、という正しい東京の夜の生活にすっかり適応している自分に気付く。 今は、色々と感動の毎日。空港でスーツケース7個を運んで難儀していたら、駆け寄って来て外まで荷物運びを手伝ってくれた上下青の制服に身を固めた成田空港の親切な税関職員。1分単位

  • 金融危機後のシリコンバレー

    米緊急経済安定化法案が、29日の下院で否決。賛成205票、反対228票。11月の選挙を睨み、有権者の心情を慮った議員の行動が相次いだことが背景にあると思われ、「金融機関救済に税金を使うのはイヤ」という素朴な世論がある意味ストレートに反映された結果だろう。 この議論はまさに90年代を通して日で見られた議論。92年頃に問題がIdentifyされた後、結局97年に銀行の大規模な貸し渋りが表面化して、広く国民が銀行問題から実害を被り出してから98年・99年にようやく金融機関への資注入が実行されて行った経緯がある。5年~6年の時間軸で物事がDead Lockした日と比較すると、一旦下院で否決されたとは言え関連法案を素早く議会にProposeした米政府の対応は大変素早いとは思う。景気後退のImpactを軽減するには他にOptionは無いことは見えている。政治のLeadershipがどれだけWor

  • シリコンバレーで今何が起きているか ~ Trouble on Sand Hill Road ?

    Trouble on Sand Hill Road、というややステレオタイプ的なタイトルで始まるDow Jonesの9月30日付Release。VC-Backed Liquidity Drops 66% to $4.6 Billion in 3Q08, Lowest Since 2003と続く。(こちら) 同Releaseによると、2008年7月~9月の米VC BackedベンチャーのIPOはわずか1件。同時にM&A市場も大きく落ち込み、第三四半期の米VC BackedベンチャーのM&A件数は66件、総額$4.4B(約4500億円)。前年同期は116件で総計$12.7Bということで、金額ベースで65%の落ち込みである。尚、年初から9月末までのIPO件数は7件、M&Aは247件。Year to Dateでも過去10年間で最低水準。足元のExit環境は大変厳しい状況にある。 ちなみに上記のよう

    シリコンバレーで今何が起きているか ~ Trouble on Sand Hill Road ?
  • 今般の米金融危機がシリコンバレーに与える影響

    今般の金融危機がシリコンバレーに与える影響、ということでSilicon Valley WatcherのTom Foremskiの論点出し項目以下御参照。(こちら、Silicon Valley and Wall Street: We're Not Immune - Here's Why ) Wall Street firms are massive buyers of all types of IT equipment. IT製品の大きな需要家であるWall Streetの製品購買意欲減退。 Analyst coverage of Silicon Valley Companies and Growth Sectors. AnalystのCoverageが減って上場企業株価形成がよりVolatileになる。 Raising VC Funds. VCのFundraise環境が厳しくなる。 IPO

  • Googleが新ブラウザGoogle Chromeを発表

    久しぶりにべ物ネタ以外のエントリ。Googleが新しいブラウザGoogle Chromeを発表。一言で言うと、新しいブラウザというよりは、まともなアプリケーションの実行環境が出て来たということかと思う。1つのタブ内のアプリのクラッシュが他に影響しないように、ブラウザのタブ毎に別のプロセスを割り当てる。また、1つのタブ内でドメインを移動した際にも今迄見ていたページのプロセスをTerminateしてメモリを開放する仕掛けになっている(らしい)。そしてJava Script VMを1から書き起こし、大幅な高速化と安定化を図っている。随所にSolidなアプリ基盤を作ろうというこだわりが感じられて、興味深い。 ちなみにConcept漫画(こちら)によると、このJava Script VMのCoreはChrome非依存で、他BrowserやJavaScript Engineを必要とする他Projec

    Googleが新ブラウザGoogle Chromeを発表
  • ITベンチャーやエネルギーベンチャーと50年の計

    ここ暫く、色々と戦略を練ることに時間を多く割いている。戦略構想の出発点として、自分自身やTeamの比較優位は何か、Identityは何か等、時間を見つけては色々と思いを巡らせる。思考実験の一環で、Long TermのIndustrial Trendを考えてみたりもする。 Long TermのTrendと言って最近真っ先に思いつくのは、エネルギー問題である。直近の各種バブル的現象はご愛嬌として、エネルギー問題を突き詰めて行くと50年の計に辿りつく。再生エネルギーの格利用や分散発電体制への移行など。おそらく、当方自身が現役である時代には決して終わらない時間軸で、今後社会全体が様々な利害関係を乗り越えながらTransformationを進めていくだろう。現在、我々はその入り口にいる。 新たな水素製造手法を考案したと主張する起業家も、植物をべてエタノールを吐き出す特殊な菌を土の中から偶然発見し

  • San Mateoに新しい和食屋「和厨(わくりや)」オープン

    今日のDinnerは、San Mateoで明日開店予定の和屋「和厨」で(115 De Anza Blvd. San Mateo CA 94402 TEL (650)-286-0410)。Open前日の試機会ということで、お招き頂いたもの。シェフの山崎さんは2月末迄Menlo Parkの桂月で会席シェフとして活躍されていた方で、奥様のまゆみさんも桂月におられた方。久しぶり(でもないが・・)にお目にかかるまゆみさんは、お元気そうで何より。 MenuはPre-Fixの会席料理。Three Dishes Course($35)、Six Dishes Course($55)、Ten Dishes Course($85)の3種類。Ten Dishes Courseを頂く。 まずはサーモンとマスカルポーネ(イタリアのチーズ)の白和え。新鮮なサーモンといくら、アスパラガス。美味。続けてまぐろの握りと

    San Mateoに新しい和食屋「和厨(わくりや)」オープン
  • 梅田望夫氏の「ウェブ時代をゆく」を読んで ~ 「けものみち」脇に超高層ビルを建てたい

    アメリカへの帰国前、いつもの通り丸の内の丸善でをしこたま買い込む。スーツケースにを詰めて、空港へ。先ほど日橋でうな重をべたばかりだというのに、成田のJALのラウンジのビーフカレーは相変わらずうまく、しっかりべてしまう。嗚呼、我豚的人生(意味不明)。 成田発サンフランシスコ行きのJL002は定刻通りの出発。1週間の日出張もようやく終了し、シートに身をうずめてこの1週間を振り返る。シートベルトサインが消えた頃、先ほど買い込んだの中から梅田望夫氏の「ウェブ時代をゆく」を手に取る。San Francisco空港への到着直前にちょうど読了。 San Francisco空港を出て280を南下しながら、あれこれ思索を巡らせる。当方としては、大組織に身を置きつつも個が闊歩するシリコンバレーで投資活動を営む者として、そして「大組織の持つ底力」と「当地で個がイノベーションを引っ張っている現場」双

    梅田望夫氏の「ウェブ時代をゆく」を読んで ~ 「けものみち」脇に超高層ビルを建てたい
  • Dave's Blog: 検索技術の今後

    に無事到着。都内のホテルにチェックイン。 日に向かうJL001の機中で、検索の今後についてなんとなく考える。最近、3~4週間くらい前だろうか、Bay AreaではPowersetというStartupが話題になった。自然言語での検索実現を目指しているStartupである。 CEOBlogに書いてあるコンセプトは、相応に納得感がある。興味のある方はご参照を。キーワード検索の不自然さや不完全さを指摘。現在のキーワード検索を「フランス語が話せないアメリカ人がパリで生活する不便さ」にたとえているくだりが面白い。 彼らがやろうとしていることは、要は検索要求のContextをどう汲み取るかという事。単純なキーワードの羅列では失われてしまう情報要求の背後にあるContextを、自然言語でQueryすることで検索処理系に伝えようという試みである。「Googleで検索は決まり」、という風潮に一石を投じ

    Dave's Blog: 検索技術の今後
  • ライブドア問題を聞いて思ったこと

    シリコンバレーでも、ライブドア問題と東証のばたばたが投資先の取締役会等で時々話題になっている。先日第一報をYahoo JapanのNewsで見て、問題単体の事象の中身から離れて純粋に頭に浮かんだことを書いてみたい。 地検の捜査がライブドアに入った、という報に触れて真っ先に考えたのは、件の歴史的位置付けである。事業を営む企業も、捜査を行う人間も、果てはメディアも、基的には目の前にある課題や事象を対象にして行動を起こしているわけだが、大きなNewsになる事象とは、そのほとんどが当事者の利害を超越した何らかの歴史的意義(や象徴的な意味)に沿って顕在化した事象である、と当方は捉えてみたい。 そして当方は、アメリカYahoo Japanの短い第一報のNewsを見て、ライブドア自身の話とは全く別に、「あ、日経済正常化へのプロセスが終わりかけているらしい」と浮かんだ。ビジュアル的には、具合が悪

  • Blogを書くということ

    8日のエントリには、9日で2200強、10日には2300以上のPage Viewを頂いた。合計で4500以上。今日はさすがに減衰して来たが、それでも現在も4桁のオーダーで増加中である。わざわざ読んで下さった方々には、改めて感謝したい。 自分の特定のエントリが4500人以上の目に触れていることを思い、感慨にふける。Blogを始めた昨年4月末初日のアクセス数は2件だった。 渋谷のNHKホールの収容人数は3677人、赤坂のサントリーホールは2006人。ある意味、満員御礼のNHKホールを埋めた方々を相手に、情報発信をしている勘定になる。サントリーホール換算では、昼と夜の2公演分以上である。 最近、Blogの効用を改めて実感している。まずは自分自身が読者としてのBlog。様々な方のBlogを日々拝見することで、シリコンバレーにいながらにして日の事情や雰囲気(ここが大切)を知ることが出来る。日情報

  • Web系Startupの10の心構え

    Odeo CEOBlogに、Web系Startupの10の心構えが載っていた。("Ten Rules for Web Startups") OdeoはPodCastポータルのベンチャー。CEOのEvan Williamsは、Blogger.comを世に送り出したPyra Labsの元CEO。(Pyra Labsは2003年にGoogleが買収) 10の心構えは以下の通り。原文では1つ1つに解説がついているので、興味のある方は参照されたい。 1 Be Narrow(フォーカスして) 2 Be Different(違いを意識して) 3 Be Casual(カジュアルに) 4 Be Picky(こだわって) 5 Be User-Centric(ユーザセントリックに) 6 Be Self-Centered(自分位で) 7 Be Greedy(貪欲に) 8 Be Tiny(小さく始めて) 9 B

  • GoogleがVCの競合になる日(その2)

    少し日が開いてしまったが、11日のエントリの続き。VCが大手テクノロジー企業・ポータルとのStartupの取り合い状況下でどのような対策を取るべきか、という話。 先日ご紹介したPaul GrahamのHPには、まずはVCがSOX法をより「loose」にするようロビー活動すべしとあるが、これは置いておいて、もう1つの論点がより興味をひく。 My second suggestion will seem shocking to VCs: let founders cash out partially in the Series A round. At the moment, when VCs invest in a startup, all the stock they get is newly issued and all the money goes to the company. They

  • GoogleがVCの競合になる日(その1)

    Paul GrahamのHPに面白いエントリが(THE VENTURE CAPITAL SQUEEZE)。ベンチャーキャピタルが4方向からSqueezeされている、というVCとしてはあまり有難くない話。 4方向の力とは、「カネ余り」、「Startupが以前ほどカネを必要としていないという事実」、「SOX法等の影響でIPOが以前より困難になったという状況」、そして「大手のM&AとVCのFinanceが競合状態になって来た」という話。 要は、「投資しなければならない資金がだぶついている状況」で、「Startupが以前ほど資金を必要としなくなっている」上に、「IPO市場が狭まりVCとしてのExit機会が減少している」状況。そしてさらに、「若い会社に大手ポータルが買収意欲を示していて、VCから見ると競合先になっている」という状態である。 1~3番目の論点は時々Blog上でも触れているが、4番目の

  • 1