トップ > Chunichi/Tokyo Bookweb > 書評 > 記事一覧 > 記事 【書評】 日本の分断 切り離される非大卒若者(レッグス)たち 吉川徹 著 Tweet 2018年5月20日 ◆属性が固定する格差 [評者]橋本健二=早稲田大教授 「格差社会」は平成日本で最大の流行語のひとつだが、それ自体は単純な言葉で、格差の原因や構造については、何も表していない。私は社会のしくみに踏み込んだ、より明確な呼び名を使った方がいいと考え、これまで「階級社会」という言葉を使ってきた。 これに対して本書が提唱するのは「分断社会」である。著者によると、社会が流動化した今日、不安定化した職業や収入より、学歴や世代など、変わることのない基本属性の影響力が強まっている。 多くの格差は大卒と非大卒の学歴の違いと結びついている。雇用は一九七五年以後に生まれた世代で不安定化した。男女の間には大きな格差があ