「僕には両方を弾く権利があります。人間あした死ぬかもわからんのに、未来があるかどうかわからんのに、二つの楽器を練習することも許されんのですか」(p.209-210) 「同じことじゃ思うで。俺はたぶん、何かが終わっていく感じが嫌いなんよ。どうように下らんことでも、それが終わるんが悲しいんじゃ。ほいでも終わらんものなんかどこにもない。じゃけえせめて最後の最後まで見届けようとする」(p.307) 本当は、他にも引用したい箇所が幾つもあったんですが、厳選に厳選を重ねて、何とか二つに絞りました。しかもそれが両方共、語り手の(過去の)台詞と云うのが、何とも僕らしいような気もしてしまいますが。本書には、本篇の前に掲載されているものと同じ内容の「登場人物紹介」の小冊子が付いていて、そこには生徒と顧問併せて、三十四人もの名前とそれぞれについての短い紹介文が書かれているんですが、その中の誰にも全く共感出来ない