北朝鮮による日本人拉致問題の進展に向け、日本政府が対北圧力を強めている。その象徴とされるのが、警察当局が捜査を進める在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)を舞台にした北朝鮮産マツタケの不正輸入事件だ。事件捜査を圧力として北朝鮮を揺さぶる構えのようで、政府は圧力の「切り札」も温存しているとされる。そのカードを切る場面は来るのか-。 ■ ■ ■ 警察当局は今年3月に許宗萬(ホ・ジョンマン)議長と南昇祐(ナム・スンウ)副議長の自宅を家宅捜査したのに続き、許議長の次男、許政道(ホ・ジョンド)容疑者=外為法違反容疑=らの逮捕に踏み切った。 首相官邸は「警察は法と証拠に基づいて捜査を進めている。わが国は法治国家で、自然のことだ」(菅義偉官房長官)とし、事件捜査と拉致問題を切り離している。ただ、その言葉を額面通りに受け取る向きは少ない。北朝鮮に拉致問題の進展を迫る「圧力の一環」として、今回の事件の青写真を官邸