システム開発の失敗を巡るシステム裁判が絶えない。ユーザー側の責任を厳しく問う判決が増えているとの見方もある。ただ発注者と受注者が果たすべき義務の本質は変わらない。 プロジェクトの途中で仕様変更を繰り返すユーザー企業と、対応に苦慮するITベンダー――。システム開発の現場で何十年と繰り返されてきた光景だ。ひとたびシステム開発が頓挫すれば、訴訟にまで発展するケースもある。 典型例が、2021年4月21日に控訴審判決が言い渡された「野村-IBM裁判」だ。システム開発の失敗を巡って発注者の野村ホールディングス(HD)らが委託先の日本IBMを訴えた。 東京高等裁判所の判断は「プロジェクト失敗の原因は仕様凍結後も変更要求を多発したユーザー企業(野村側)にある」というものだった。日本IBM側に非があるとした一審を覆し、逆転敗訴の判決を下したことからも同裁判は注目を集めた。野村HDは現在、上告を申し立ててお