経営者にとって、需要リスクをどう扱うかは、極めて重要な問題だが、どうも、現在の経済学では、必ずしも理解が十分でないように思われる。ヒトにとってリスクとはどういうものなのか、それを深めることが、経済現象の理解につながると考える。今回は、ちょっとオタクな話になってしまうかもしれないが、お付き合い願いたい。 ……… 需要リスクがある下での設備投資の判断について、現在の経済学の主流派は、期待値に従うとするのだが、これに対して、非主流派は、その期待値が測り知れない場合、例えば、大きな変動を伴うときには、成り立たないと批判する。期待値が分らなければ、立ちすくむしかないと、突き放してしまうわけだ。 筆者は後者に近いことになるが、それで満足してはいけないと思う。主流派の立場からすると、大変動の例は少ないにしても、いくつか経験して試行錯誤すれば、大体は見えてくる、つまり、どのくらい時間がかかるか分らないにせ