→紀伊國屋書店で購入 「先見に満ちた旅の記録」 これまで『路上』の名で出ていたジャック・ケルアックの代表作が、原題のまま『オン・ザ・ロード』として新訳で出版された。「オン・ザ・ロード」という言葉には単に道路の上にいるというだけではなく、「旅行中」「家出中」「放浪している」「巡業中」など、動いている状態が含まれていると訳者の青山南が解説している。 「旅」という日本語もかつては「オン・ザ・ロード」の語感に近かったのではないか。よそから来た人は、目的がなんであれ、すべて「旅人」だった。沖縄の古老はいまも出稼ぎに出ていたことを「旅に出てました」などと言うことがあり、そういう表現に接するたびに、旅や旅行が観光の意味に限定されたのがつい最近であることに思い至るのだ。 『オン・ザ・ロード』はその名のごとく旅の物語であり、徹底した移動の記録である。語り手のサルも、親友のディーンも息つくひまもないくらい、東
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