昭和27年12月、当社は、翌年2月のNHKテレビ本放送開始に先立って、17インチ型白黒テレビを発売した。しかし価格は、最初17型のデラックスが29万円、卓上型でも23万円と、当時の公務員初任給の20倍以上であり、一般庶民の買える価格にはほど遠かった。 テレビを普及させるためには、さらに価格を下げる必要があった。創業者は、当時のテレビ事業部の技術者を頻繁に呼んでは、コストダウンの提案をさせた。そしてある時、こう言った。 「君らは1割下げようか、2割下げようかと考えているようやが、それでは画期的な策は生まれない。例えば、今の半分にすることを考えなあかん。そうすれば新しい発想が生まれる」 さらに続けて「君らが、よい働きをして給料が上がってもよいし、工夫によってテレビの値段が下がってもよい。とにかく、君ら自身が買えるテレビを作れ」 翌年には、14型を14万8,000円で発売、その後14型を