出撃。僕はいつまで走り続けるのだろう?白い朝の空気を、ふりあげた右足が引き裂く。いつまで?紺スーツに包まれた右足の下で赤いフレームが燃えている。何のために?膝の部分がつんつるてんになって斜めの朝陽に鈍く浮く。誰のために?メンズプラザアオキ、スーツ一着につきパンツ二本のセットは、一方のパンツだけを愛し信じ履き続けた僕には意味がなかった。一人で?ずり下がった指割れソックスとスーツの隙間で僕の脛毛が朝を愛撫する。サドルの冷たさに我を取り戻す。 チェックスタート。ロック・オフ。「ラジャーッ!」妹が応える。ノーエレクト。「ラジャーッ!」眼鏡オーケー視界良好。「ラジャーッ!」軍手が左右のブレーキレバーをカチカチと動かす。横を原付に乗ったギャルがかすめていく。「ブラジャーッ!」妹から弁当を受け取り、「地域安全パトロール」のパネルが取り付けられたカゴ、鞄の下に入れる。「お兄ちゃんゴー!グッドラック!」親指