「いずれ使われなくなる日が来てほしい」。そんな思いを胸に、ある大阪の中小企業が作ったのは、一見、何の変哲もない発泡スチロールの箱。会社の技術を結集したというこの箱。いったい、何のために作られたのでしょうか。(大阪放送局記者 宗像玄徳) 出会いはことし2月でした。大阪・堺市の市長が会見に集まった私たち報道陣を前に、ある箱を手に取り紹介しました。 名前は、「Sakai-BOX」。 笑いの聖地・大阪らしからぬひねりのない名前のうえ、見た目は普通の発泡スチロールの箱。「ただの箱やん・・・」そう思ったのが正直な最初の感想です。 市長によると、この箱は、新型コロナウイルスのワクチンを運ぶために、堺市が大阪市内の企業と共同で開発したものだとのこと。会見に出席したほかの記者たちからは、「本当にワクチンを運べるのか?」「温度管理は大丈夫?」「なんでSakai-BOXなのか?」などと、厳しい質問が相次ぎました