英Armは11月23日、Cortex-Mファミリーの新製品として「Cortex-M52」を発表した。これに関して日本法人であるアームより事前説明があったので、この内容をお届けしたい。 今回発表された「Cortex-M52」であるが、製品ポジションを筆者なりにまとめたのが図1である。 図1:Cortex-M52の製品ポジション ラフに言えばCortex-Mの初代がArm v7-Mを搭載するCortex-M0/M0+/M3/M4/M7のラインナップで、これがCortex-Mシリーズの基本となる。次に、そのArm v7-MにTrustZoneの実装を追加したのがArm v8-Mで、これはCortex-M23とM33/M35Pの3製品が用意される。Cortex-M35Pはちょっと聞き慣れないが、Cortex-M33にAnti-Tamper性を持たせたSecure Processorであり、2018
「Intel Pathfinder for RISC-V」のWebページ 以前は、「Intel Pathfinder for RISC-V」と呼ばれたRISC-Vをサポートするプログラムの概要が説明されていたが、終了を告げるアナウンスページに書き換わっている。このプログラムの利用を検討していたベンダーは、突然はしごを外されてしまった。 2023年1月、「RISC-V」に関して相反する2つの方向からの動きがあったのでまとめておきたい。 GoogleがAndroidをRISC-Vに対応 第一の動きは、前向きな方向の話だ。 Googleが本格的にRISC-V用のAndroidをサポートするという話である。サポートするといっても、今すぐにではなく、まだまだ先の話ではあるようだが。 だいたい現時点では、卵が先か鶏が先かという状態であるのだ。組み込み用途向けのRISC-V搭載マイコンは多数現れていて、
IoT(モノのインターネット)市場が拡大する中で、エッジ側の機器制御で重要な役割を果たすことが期待されているリアルタイムOS(RTOS)について解説する本連載。第5回は、プロセッサコアIPベンダーのArmが独自に展開する「Mbed OS」を取り上げる。 ArmのリアルタイムOS(RTOS)「Mbed OS」は過去に何度か取り上げさせていただいた。最初は2014年のこちらの記事で、次いで2015年のこちらの記事、mbed 3.0の話、連載「IoT観測所」の第13回と第39回、そして2018年の「Mbed Linux OSに」絡んだ話といった具合だ。 加えて言うなら、2020年7月にArmがISG(IoTサービスグループ)を切り離すという報道があり、Mbed OSはどうなるのか? と思っていたら、最近になってロイターがこの計画が中止になったと報じている。これが事実ならまぁ一安心ではあるのだが、
最近ではArm、RISC-Vなど組み込みでも華々しい活躍を見せているRISCプロセッサ。その歴史的経緯を、IT史に詳しい大原雄介さんが解説する。 ARM(現在はArm)の成功は、また別の形で業界に影響を及ぼすことになった。つまり「適当なプロセッサがなければ、自分で作ればいい」というトレンドである。1980年代後半といえば、まだASIC(Application Specific IC:特定用途向けIC)を使うことが多く、国内でもNEC、富士通、日立、東芝、シャープといった大手だけでなく、もっと小さなメーカーもASIC製造に参入していた。 実際、筆者が昔いた会社では、ヤマハに製造を委託することもあった。もっとも、当時のヤマハは規模こそ小さかったものの、97年にIntelに買収された米半導体企業Chips & Technologiesの製品の製造を受諾していたりしていたから、知名度はそれなりにあ
アマゾン買収から2年半、「Amazon FreeRTOS」は最も手頃なRTOSに:リアルタイムOS列伝(2)(1/3 ページ) IoT(モノのインターネット)市場が拡大する中で、エッジ側の機器制御で重要な役割を果たすことが期待されているリアルタイムOS(RTOS)について解説する本連載。第2回は、アマゾンの買収によってRTOSのメインストリームに躍り出た「Amazon FreeRTOS」について紹介する。 連載「リアルタイムOS列伝」の第2回、というかここ10年のリアルタイムOS(RTOS)の動向を概説した前回を除いて実質的な第1回になる今回は「Amazon FreeRTOS」をご紹介したい。 ⇒連載記事「リアルタイムOS列伝」バックナンバー Amazon FreeRTOSの話は、アマゾン(Amazon.com)による買収を受けてのこちらの記事で触れているが、簡単に説明すればもともとはリチ
茨の道が広がるMIPS/動き出したWi-Fi 6E/Armの物量戦:大原雄介のエレ・組み込みプレイバック(1/3 ページ) エレクトロニクス/組み込み業界の動向をウオッチする連載。今回は、2020年4月の業界動向の振り返りとして、MIPSビジネスやWi-Fi 6Eの動き、Armのスタートアップ向けFlexible Accessなど、小ネタ3本をお届けする。 全世界的にロックダウンが行われていたこともあり、エレ・組み込み業界では2020年4月もあまり活発な動きはなかったため、小ネタをいくつかご紹介したい。 MIPS(というかWave Computing)とImagination 2019年12月の記事に、Wave Computingそのものがかなり厳しいのでは? と書いたが、案の定であった。こちらの記事ではまだ確定していなかったが、米国時間の2020年4月28日にPR Newswire経由で
現状のRISC-VベースMCUと将来 さて、IAR DevConでは実際にそのRISC-V(今回はIAR DevCon Evaluation boardではなく、SiFiveのHiFive 1を利用)を使ってのハンズオンも開催されたので、その内容を元にちょっとMCUとしての現状のRISC-Vをご紹介したいと思う。 そもそもRISC-V向けのソフトウェア開発環境としては、GitHubで色々公開されているほか、Andes Technologyが今年1月末にAndeSightというRISC-V向けIDEを無償公開するなど選択肢はいくつかあり、IAR EWRISC-Vは「初の商用開発環境」という扱いになるが、商用というだけにきちんとサポートが整った環境が提供される。以下、RISC-V一般の話とEWRISC-Vの話が混在するが、ちょっとまとめてご紹介したい。 まずは割り込み回り。現状RISC-Vその
はじめに 本記事ではXilinx社のソフトコアCPUであるMicroBlazeでFreeRTOSを動作させ、PCのターミナルソフトとFPGAとの間でシリアル通信してI2CやSPI、UARTのペリフェラル制御を行います。 ※因みに私はRTOSを触るのは初めてなので、突っ込みどころがありましたらぜひご指南ください。。 設計の背景 FPGAの利用価値は 汎用品では不可能な柔軟な回路構成(静的にも動的にも) プリミティブな回路による圧倒的なリアルタイム性能 の2点に集約されると言えます。 例えば、数多くのセンサとアクチュエータをぶら下げて、流れてくるデータを監視しながらリアルタイムにデバイス制御したい場合など。 最近ではARMコアと論理回路部がワンパッケージになったFPGAも一般的になってきましたが、ARM上のLinuxにさせるまでもない瑣末な処理で、なおかつリアルタイム性能も重視したい時に便利な
中国のAlibaba Groupが、中国の組み込み向け32ビットCPUコアの設計を手掛ける中国C-Sky Microsystemsを買収した。中国における、半導体“自給自足”の動きが加速するのだろうか。 中国の巨大インターネット企業のAlibaba Groupは2018年4月20日(現地時間)、32ビット組み込みCPUプロセシングコアの設計を手掛ける、中国C-Sky Microsystems(以下、C-Sky)を買収したことを発表した。 Alibabaは買収条件を明らかにしていない。 この動きによって、Google、Amazon、Alibabaといった企業の間で、ある傾向が強まっていることが浮き彫りになった。それは、自社のビジネスに見合うチップを設計するため、半導体企業を傘下に取り込もうとしているという傾向だ。 この買収が発表されるかなり前から、C-SkyはAlibabaとの独自のつながり
これは Rustその2 Advent Calendar 2017 24日目の記事です。ARM Cortex-M アーキテクチャを採用した32ビット・マイクロコントローラ(マイコン)向けに、Rust でプログラムを開発する方法を紹介します。これらのマイコンでは Linux などの OS は動きませんので、OS なしで動作する「ベアメタル」なプログラムを書きます。 Rust を使うと、たとえマイコンであってもマルチスレッドでデータ競合のない「安全な」プログラムを簡単に開発できます。 今回は STM32F4 Discovery という Cortex-M4 を搭載した2千円台で買えるボードを使用します。Cortex-M0+ 以上のプロセッサを搭載したマイコンならどれでも同じ開発手法がとれるはずです。 高性能かつ低価格のマイコンを実現する Cortex-M アーキテクチャ ARM Cortex-M
もう終わりそうですけど、4月ですしこれから組み込み業界へ向かうかたへ自分がこの本よかったなーって思ったのをいくつかピックアップしてみます。ただ、一言に『組み込み』と言っても幅広くて分野によって求められる知識は結構変わってくると思いますが、ベースは一緒だろうと思います。 ちなみに自分はCPUはRL78、Cortex-M0、Cortex-M3、Rx、SH、Cortex-A9、FPGAは最大でも7000LUT程度のレンジのハードウェア設計をやってきました。今はZynqや大規模FPGA開発に携わりたいと思っています。 以下に挙げていきますが、オススメがあれば是非教えていただきたいです。 ※順番に意味はありません。 CPUの創りかた CPUの創りかた 作者: 渡波郁出版社/メーカー: 毎日コミュニケーションズ発売日: 2003/10/01メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 35人 クリック:
本連載の前々回「まるで“空飛ぶプロセッサ”、進化する中国ドローン」で扱った中国DJIのドローン「Phantom 4」の追加情報を今回も掲載する。DJIのPhantom4には実に27個ものCPUが搭載されていることを報告した。今回はその具体例を紹介したい。 図1は、カメラ雲台(Gimbal)に採用される米Ambarellaのカメラ用プロセッサ「A9」のチップ開封の様子である。 A9チップは、映像機器関連で採用が多く、DJIのDroneのみならず、アクションカメラで有名な「GoPro」、ドライブレコーダーや監視カメラにも搭載されている。DJIは、このカメラプロセッサにソニーのCMOSセンサーを組み合わせてPhantom 4の雲台を構成している。 このチップは図1に掲載するように、仕様(内部ブロック図)が公開されていて、3つのCPUと、ビデオやイメージ処理を行うDSPから構成されていることが明ら
まずはRAMでプログラムが実行できるか確認 マイコンによっては、メモリアドレスがコードエリア、データエリアに分けられています。データエリアではプログラム実行はできません。一部のマイコンは、データエリアにRAMが割り当てられています。そのようなマイコンでは、RAMでプログラムを実行できません。 例えば、ハーバードアーキテクチャで、データバスしかRAMに割り当てられていなくて、かつ、データバスからプログラムを実行できない場合などは、RAMではプログラムが実行できません。 まずはマイコンの仕様を確認しましょう。 本記事で例としてあげるSTM32ファミリの場合は、ハーバードアーキテクチャですが、RAMでプログラムを実行することができます。 方法はさまざま 内蔵RAMにユーザーのプログラムをロードし、実行する方法は、マイコンごとに異なります。しかし、一般的には、次の2種類の方法に分けられます。 1.
まるで“空飛ぶプロセッサ”、進化する中国ドローン:製品分解で探るアジアの新トレンド(11)(2/2 ページ) 「空飛ぶプロセッシング」 主にこの空間認識処理を行うのは、米Movidius(2016年9月にIntelが買収)のビジョンプロセッサだ。MovidiusのチップはGoogleの「Project Tango」(3次元認識技術)で採用されたことで一躍有名になった。その他にも、メイン基板には各種プロセッサやシステム制御のマイコンが搭載されていて、さながら「空飛ぶプロセッシング」という様相だ。 実際にテカナリエでは、ほぼ全てのチップを開封した。2.4GHz帯対応のコントロール通信、モーター制御のコントローラーIC、カメラ処理エンジン、ビジョンプロセッサのホスト、電池監視マイコンなど、全てのチップを開封した上で内部の仕様を調査した。結論から言えば、Phantom 4には、なんと27個もCPU
図2:DMAの詳細動作例 (クリックで拡大) [a](左図)はCPUを使ったデータ転送 / [b](右図)はDMAを使ったデータ転送 これはRAMからデータを取り出して通信機能へ送る場合です。通常、CPUがデータ転送を行う場合(図2[a])、まずRAMからデータを読み出します。読み出されたデータは、一度CPU内のALUを通ります。そして、ALUではデータに何の処理も行わずに、そのまま出力し、通信機能にデータは送られます。一方、DMAはCPUを介さずにRAMからデータを読み出し、通信機能へ転送します。その際、CPUは使われないので、ALUを使って別の演算ができます。マイコンとしては2つの仕事を並列処理できることになり、非常に効率的です。 最初CPUが、DMAにデータ数、転送元/先アドレス、転送モードなどを設定します。その後、DMA転送スタートのトリガーが来るとDMAは転送を開始します。DMA
英ARMは11月11日(現地時間)から開発者向けのイベント「ARM TechCon 2015」を開催している。このイベントは、ハードウェア、ソフトウェアの開発者向けに同社が毎年開催しているもの。会場は米カルフォルニア州サンタクララ市。ここは、某大手プロセッサメーカーの「お膝元」での開催というところに"挑戦的な感じ"がしないでもない。ちなみにARMの米国拠点は、テキサス州のオースティン市にある。 同イベントは、基調講演やセッション、会場での展示で構成され、米国の一般的な技術イベントと変わらないが、いままでもARMv8-AアーキテクチャやmBed OSなど、ARMの戦略的な製品がここで発表されてきただけに、今回も注目が集まる。さて、ここでは初日と2日目に行われた基調講演の模様をレポートする。 第二世代のLITTLEプロセッサ「Cortex-A35」 初日の基調講演に登場したのは、ARM CTO
2014年9月にARMはCortex-M7を発表し、早速AtmelとFreescale、STMicroelectronicsがライセンスを受けたことを発表したのは既報の通り。加えて11月にはSpansionもライセンスを取得しており、恐らくすでにCortex-M4のライセンスを受けているメーカーのほとんどはこれに追従するのではないかと思われる。そのCortex-M7、内部構造が2014年に行われたARM TechConで発表されているので、これを紹介しつつ、今後のMCUの動向についてちょっと考察してみたいと思う。 内部構造 Cortex-M7そのものの命令セットはCortex-M4と完全に一緒である(Photo01)。恐らく次のARM v8Mが発表されるまで、これは変わりそうに無い。逆に言えば既存のCortex-M0~Cortex-M4のコードはそのまま完全に互換に動作することが保障されて
ARMが発表したIoT向けOS「mbed OS」はそれを支えるプラットフォームとともに開発が続けられており、2015年10月のリリースを目指している。これまで発表された情報を基に、mbed OSの詳細と現在の動向についてお伝えする。 英ARMは2014年10月に開催したカンファレンス「ARM TechCon 2014」にて、IoTのエンドデバイスOS「mbed OS」を開発中であることを明らかにした(ARMが「mbed OS」で伝えたいメッセージ)。 その後も着々と作業は進んでおり、2014年12月14日にはパートナー企業に対してAlpha 1がリリースされている。そしてAlpha 2/Alpha 3を経て2015年8月15日にはBetaがリリース予定である(Photo00)。製品版であるmbed OS v3.0のリリースは同年10月15日となっており、そこまで試すことはできないのだが、こ
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