自民党の岸信夫前防衛相の後継に名乗り出た長男信千世氏が政治一家であることを示す「家系図」をホームページで掲載(現在は削除)すると、批判が噴出した。くしくも、岸田文雄首相が長男を秘書官に起用し「世襲の布石」との臆測が飛んだばかり。なぜ政界には「華麗なる一族」が多いのか。米コロンビア大のダニエル・スミス客員准教授に聞くと、世襲の常態化には重大なリスクがあるという。【聞き手・大野友嘉子】 スミスさんは、米ハーバード大助教授、准教授を経て現職。日本政治や選挙政治学などについて研究しています。著書「Dynasties and Democracy(王朝と民主主義)」(スタンフォード大学出版)では、民主主義は世襲の対義であるはずなのに、日本はこの二つの共存が顕著だと指摘し「王朝的な民主国」と呼んでいます。インタビューでは日本の戦後政治や選挙制度の変遷に触れ、世襲の問題点を指摘しています。 ――菅義偉前首