倒壊した家屋。おおむね予測された地震だったが、甚大な被害が出た=熊本県益城町で4月19日、飯田和樹撮影 地震学、防災へ生かせ 震度7の地震がわずか28時間の間に2度起こった熊本地震。「過去に経験がない」ことが強調されているが、震源となった布田川(ふたがわ)、日奈久(ひなぐ)の両断層帯は政府の地震調査研究推進本部(地震本部)により、存在や地震の規模が予測されていた既知の活断層だった。見方によっては、おおむね想定内の地震だと言える。それなのに大きな被害が出たことは、1995年の阪神大震災を契機に大きく進歩した研究成果が国民に浸透していないという現実を突きつけた。さらなる研究は重要だが、まずは現在の地震学の成果をいかに防災に結びつけるか、この機会に考え直すべきだ。 この記事は有料記事です。 残り1640文字(全文1921文字)
佐賀大農学部と同大学院農学研究科は、熊本地震で被災した学生を対象に、講義を無料で開放し、聴講希望者を受け入れる。卒業論文や修士、博士論文の研究についても、在籍する大学の指導教員の許可を得た上で指導を受けることが可能。在籍大学が講義を再開するまで受け付ける方針。 学生の受け入れは、東海大農学部がある熊本県南阿蘇村などの被災を受けて、「可能な支援ができれば」と提案された。佐賀大農学部の渡辺啓一学部長は「一刻も早い復旧と教育研究の再開を祈る」とコメントを発表した。 申請は、佐賀大教務課を通じて聴講する科目の担当教員に申請する。単位取得の可否は、聴講証明を発行した上で在籍する大学の担当教員の判断となる。同大教務課農学部教務=0952(28)8717。 =2016/05/07付 西日本新聞朝刊=
熊本県などの一連の地震で、熊本市内陸部の長さ約5キロ、最大幅100メートルの細長い範囲に、地盤の液状化による被害が集中していることが地盤工学会の現地調査でわかった。現在は住宅地で地表からは見分けがつかないが、かつて川が流れていた「旧河道」とみられる。土砂が堆積(たいせき)した場所に沿って「液状化の帯」が生じた可能性があるという。 学会調査団の村上哲・福岡大教授(地盤防災工学)らは4月22日~5月1日、液状化の現地調査を実施。熊本市では南区を中心に、地中から噴き出した砂が建物の周囲や道路などに広がる「噴砂」を確認した。建物が沈み込んで大きく傾いたり、逆に建物の周囲が最大75センチ沈下したりした場所も見つかった。中には、応急危険度判定で立ち入り「危険」を示す赤い紙が貼られている住宅も多数あった。 発生地点は海岸から約8キロの内陸部。阿蘇から有明海へ流れる白川と加勢川に挟まれた幅約50~100メ
土砂崩落の危険にさらされている京都大学火山研究センター(22日、熊本県南阿蘇村の河陽地区で、読売ヘリから)=枡田直也撮影 熊本地震で阿蘇山の「京都大学火山研究センター」(熊本県南阿蘇村)が被災し、火山監視の要となる火口近くの観測点と、センターの観測がストップした状態が続いている。 国指定の登録有形文化財でもある同センター周辺は土砂崩落の危険にもさらされており、復旧のめどは立っていない。 センターは阿蘇山西側の丘の上に立つ西洋風の建築物で、昭和初期の1928年に開設した。職員数11人で、33か所ある火山観測点のデータは、気象庁にも送信される。 しかし、16日の「本震」でセンターを含む観測点22か所が停電し、加えて7か所はデータの送信が止まった。本震時、センター4階で寝ていた同大教授の大倉敬宏さん(52)は、「突き上げられるような揺れで目を覚ました。土砂崩れで流された近くの民家から女性を救助し
規模の大きな揺れが繰り返されている一連の地震のメカニズムなど、今回の「熊本地震」の特徴を詳しく調べる研究をあと押ししようと、文部科学省は、九州大学などのグループに、調査費としておよそ5000万円を交付することを決めました。 グループでは、規模の大きな揺れが繰り返されている一連の地震のメカニズムを明らかにするため、現地でボーリング調査を行うほか、相次ぐ地震による救援活動やインフラの復旧への影響など、「熊本地震」の特徴を詳しく分析します。また、今回の地震が阿蘇山の火山活動に影響を与えるかどうかについても、研究を進めるということです。 馳文部科学大臣は「この調査費により、関係する研究者が一丸となって、速やかに調査研究が進むことを期待したい」と述べました。
無料公開は2016年5月31日をもちまして終了いたしました。 ご意見,ご要望,お問い合わせは こちらのフォーム からお寄せください。 被災地の一日も早い復旧,復興をお祈り申し上げます。 平成28年熊本地震で被災された皆様に,心よりお見舞いを申し上げます。 このたび復興支援といたしまして,被災された方々の救出・救命・治療に当たられる医療従事者の皆様に,WEB環境でご利用いただける 『今日の診療WEB』 を,2016年5月31日まで無料にて公開いたします。ご活用いただき,少しでもお役に立てれば幸甚に存じます。 一日も早い復旧,復興をお祈り申し上げます。
ノーベル賞受賞者の山中伸弥京都大教授は19日、首相官邸で安倍晋三首相と面会し「熊本大の研究者からたくさんのSOSが来ている」と述べ、被災地の研究機関への支援を求めた。首相は「しっかりと、直ちに対応したい」と答えた。 山中教授は知り合いの熊本大の研究者から「家がつぶれてしまい、車の中で過ごしている。できるだけSOSを発信してほしい」と電子メールを受け取った。特に、マウスなどの実験用動物や凍結保存している細胞の維持管理に対して支援を求められたという。 山中教授は記者団に「熊本大には非常に貴重な科学的財産がある。被災者の支援が最優先なのは間違いないが、一日も早い対応が必要だ」と語った。 山中教授は他の研究者とともに、科学技術予算の拡充を要望するために官邸を訪れていた。 =2016/04/20付 西日本新聞朝刊=
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熊本地震の影響で、阿蘇山の火山活動の観測に支障が出ていることが18日、文部科学省審議会の地震火山部会で報告された。噴火予知などに使われる火山性微動などのデータが停電などの影響で集められなくなっているという。…[続きを読む]
モグラが掘り進んだような形に盛り上がる断層の痕跡=熊本県御船町で2016年4月17日午前11時29分、飯田和樹撮影 熊本の地震の調査のため現地に入った遠田晋次・東北大教授(地震地質学)に同行し、地表に現れた断層の痕跡を探して被災地を歩いた。14日に前震があった日奈久(ひなぐ)断層帯周辺では、これまでに見つかっていなかった地表面の亀裂を複数の箇所で確認した。14日の段階ではなかった痕跡で、16日の布田川(ふたがわ)断層帯の本震に伴って再度動いたとみられる。本震以降、日奈久断層帯沿いの地震活動は南西方向に拡大しているが、こうした断層の動きが原因となっている可能性が浮かんだ。【飯田和樹】 九州中央自動車道小池高山インターチェンジの南にある熊本県御船(みふね)町高木の公民館。敷地のアスファルトが、モグラが地表付近を掘り進んだ跡のように盛り上がっている。「断層がずれ動き、地表が所々でぶつかり合ってで
14日の熊本地震を上回るマグニチュード(M)7・3を観測した16日未明の地震は、強い揺れを引き起こし、九州に甚大な被害をもたらした。熊本地震について政府は15日、日奈久(ひなぐ)断層帯(約81キロ)の北端付近が引き起こしたと判断。ところが16日の地震は、熊本県の阿蘇外輪山から宇土半島付近に延びる布田川(ふたがわ)断層帯(約64キロ)のずれだと専門家はみている。その後、震源域は北東側に大きく移動してきており、地震が次の地震を呼ぶ連鎖が懸念されている。 気象庁は、マグニチュードが大きい16日午前1時25分の地震を「本震」と位置づけ、熊本地震をその「前震」に格下げした。 本震をもたらした今回の震源は、日奈久断層帯北端の北側、布田川断層帯に乗っている。東京大地震研究所の古村孝志教授(地震学)は「16日の地震は、熊本地震をきっかけに布田川断層帯が約30キロにわたってずれたことによる地震だ」と指摘
今後の地震活動について、専門家はさらに別の活断層が動く可能性を指摘する。九州を東西に横断する別府・島原地溝帯沿いには多数の活断層が存在し、四国や紀伊半島を通る中央構造線断層帯に連なる。 川崎一朗・京都大名誉教授(地震学)は「震源はじわじわと東に移動している。断層が動くと、その延長線上の断層も動きやすくなる」と話す。地震が発生すると、周囲の断層への力のかかり方が変化して、地震を起こしやすくなることがあるからだ。 地震予知連絡会会長の平原和朗・京都大教授(地震学)も「大分の地震は震源地から100キロ近く離れており、余震とは考えにくい。大分県の別府―万年山(はねやま)断層帯が誘発されて動いた可能性もある。今後、何が起こるかは正直わからない。仮に中央構造線断層帯がどこかで動けば、長期的には南海トラフ巨大地震に影響を与える可能性があるかもしれない」と話す。 東北大の遠田晋次教授(地震地質学)は「地震
HOME » Information » 災害対応 » 平成28年熊本地震の被災地のみなさま、ならびに災害ボランティアのみなさまへ(歴史資料保全のお願い) 2016年4月14日に発生した「平成28年熊本地震」により、大きな被害が出ています。被害にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げますとともに、また、亡くなられた方のご遺族に深くお悔やみを申し上げます。今後被災地の復旧にむけて活動される災害ボランティアや自治体職員のみなさまのご尽力に敬意を表するとともに、被災地の一日も早い復旧・復興を、歴史資料ネットワークとしてお祈りいたしております。 歴史資料ネットワークでは、本日夕刻に神戸大学で臨時委員会を開催し、当面の間緊急事務局体制に移行することといたしました。現在九州地方のみなさまを中心に連絡をとりながら、被害状況の把握につとめているところです。お近くで古い文書・記録などの被害情報がありましたら、
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