ガバナンス強化が大学経営を難しくしている面もある。ステークホルダー(利害関係者)が増え、説明責任が重くなっているためだ。ガバナンス強化が選択と集中の施策や文系の理系転換、経済安全保障研究開発などの政策と結び付き、ここに政治不信も加わることで大学に軍事研究をさせるためにガバナンスを強化し、うるさい文系を排除する権力者という像を結んでいる。 これは立証も反証も難しく、国会では野党に追及されて文部科学相が直接答えたものの議論は平行線をたどった。同様の懸念を受けて大学執行部が学内で説明する責任が生じている。科学史が専門の隠岐さや香東京大学教授は「大学の中にいると次第に慣れて違和感を覚えなくなる。声が上がらなくなることもよくない」と指摘する。声が上がることは大学の多様性や健全性の裏返しでもある。 内閣府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)では米国のトップ大学を手本に政策が検討されている。米
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