幼稚園の頃の苦い記憶がある。 先生が「将来なりたいもの」を順に聞いていき、僕は「おとうさん」と答えたところみんなに笑われたので、慌てて周りに合わせて「光GENJI」に直した。 幼少の記憶なので作り話がすり替わっただけかも知れないが、それを忘れずにいる程には「おとうさん」への憧れ(とそれを偽った悔い)を感じていたらしい。 いま三歳の子供のおとうさんになれて、やはり自分の幸せはそこにあったんだと感じる。娘の安らかな寝顔を見るたび、お迎えのとき笑顔で駆け寄ってくるたび、家でひょうきんをして笑わせてくれるたびに思う。 それまで何をやるにも感じていた「この先に自分の幸せはあるんだろうか?」という疑念はもうない。 子供の成長を観察していると学ぶことが色々とある。 去年の今頃はイヤイヤ期真っ盛りでストレスが多かった。娘が「アレ」と指をさしたものが分からずに「どれ?」と聞き、「アーレ!」「どれよ、これ?」