一連の講演で話された内容は、よりゲームのコアな部分に踏み込んだ、面白さの種明かし的な内容であったり、完成に至る開発プロセスの公開であったり、バグを如何に処理したかということであったりと、普通にゲームを遊ぶユーザーとしては知らなくても特に問題ないような内容ばかりである。 だが、こうも言える――それだけに、電ファミニコゲーマーに掲載される、濃いめのインタビューや考察記事を興味深いと感じる皆さんにとっては、どれもこれも垂涎の内容であった、と。 当日の会場は、立ち見が出るほどの満員であった 実際、今回の『BotW』関連の講演はレポート記事が各ゲームメディアから報じられ、かなり大きな反響を呼んでいる。 一つ残念なことがあるとしたら、セッションのスライド、及びスライドを撮影した写真が全て非公開だったということだ。おそらく任天堂自身はここまで高い注目を浴びると予想していなかったのではないだろうか。 だが
RMT、ポケストップ勝手設置、ゲーム実況…って違法? 注目の法律家がネットで論争の話題を丁寧に回答してみた【『法のデザイン』水野祐氏インタビュー】 今年2月に発売されるやいなや、Amazon法学カテゴリでランキング1位になり、法律家のみならずあらゆるジャンルのクリエイターの間で大いに話題となった一冊の本がある。 タイトルは『法のデザイン―創造性とイノベーションは法によって加速する』。法律家の立場からさまざまなジャンルのクリエイターをサポートしている水野祐弁護士による、初の単著だ。その後も版を重ね、6月時点で第四刷となっている。 『法のデザイン―創造性とイノベーションは法によって加速する』(フィルムアート社・2017) (画像はAmazonより) 法とは単に「自由を規制し、イノベーションを阻害する」だけのものではなく、むしろルールの作り方次第でイノベーションを加速するための潤滑油にもなるのだ
【堀井雄二インタビュー】「勇者とは、諦めない人」――ドラクエが挑んだ日本人への“RPG普及大作戦”。生みの親が語る歴代シリーズ制作秘話、そして新作成功のヒミツ 今年7月29日に発売された「ドラクエ」の新作『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』が絶好調だ。 「ドラクエ」こと「ドラゴンクエスト」シリーズが、言わずとしれた国内RPGの大人気タイトルであることは強調するまでもない。本編としては11作目となる本作も、発売から10日後の8月7日には、国内出荷本数とDL販売数の合計が300万本を突破。まさに「王者」の貫禄を改めて見せつける数字を叩きだしている。 『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』 (画像はPlayStation Storeより) さて、そんな「ドラクエ」新作であるが、今回ほど発売前にメディアやネットでの期待感が薄かったナンバリングタイトルも、珍しいのではないだろうか。
【ロメロ追悼】「ゾンビ」がなければ、現在のゲームはなかった――ゲーム史に最も影響を与えた監督の訃報に思う…ゾンビとゲームの幸福な関係:「なんでゲームは面白い?」第十回 現代において最も世界的に大衆的支持を集めたクリーチャー、それがゾンビだ。 去る2017年7月に、そんなゾンビの今日に至るまでの標準形を作り上げた、「ゾンビの父」とも呼べる偉大な映画監督、ジョージ・A・ロメロ【※】が亡くなった。 ※ジョージ・A・ロメロ……ゾンビ映画の始祖にして金字塔である3部作『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(1968年)、『ゾンビ』(1978年)、『死霊のえじき』(1985年)の監督。ゆっくりと歩み寄るゾンビの恐怖の裏側に、人間社会の病理を描くシリアスな作風で知られる。 (Photo by Getty Images) 彼がいなければ、言わずと知れた世界的大ヒットゲーム『BIOHAZARD』【※1】は生ま
ゲームの話を言語化することに使命感を燃やす、岩崎氏の開発者ならではの視点とは? 長らく続いた「RPGメカニクス」の話も、ついに今回で完結します。初めての方は、ぜひ前2回の連載も併せて読んでみてください。 当時のゲームの常識、「解けなくなったらオワリ」を解決する究極兵器として現れたRPGメカニクス。はたしてこのRPGメカニクスは、ゲームデザインにどんな影響を与えたのでしょうか?(編集部) 『ゼルダの伝説』はなぜRPGではないのか 前回、RPGメカニクスを以下のように定義した。 【RPGメカニクスの定義】 1. プレイヤーの持つ回復可能なリソースと交換で、なんらかの成長のリソースを手に入れる。プレイヤーの持つ回復可能なリソースとは、具体的にはMPやHPということになるが、ここではHPやMPと表現せずに探索リソースと呼ぶ。そして成長するのに必要なリソース(たいていの場合には経験値)は成長リソース
FF14にGLAYのTERUがいたので取材申し込んだらOKされちゃった! MSXから始まる濃厚なゲーム歴、そして初MMOの興奮を訊く【聞き手:「光のお父さん」マイディー】 今オンラインゲーム界隈に新たな風が吹き込まれている。それは――ロックバンド「GLAY」のボーカリスト・TERU(@TE_RUR_ET)の存在だ。 事の経緯を端的に説明するなら、まずオンラインゲーム『ファイナルファンタジーXIV』内で行われた親孝行の実話を基にしたTVドラマ「ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」の主題歌をGLAYが担当し、その縁があってTERUは本作をプレイすることになった、というものだ。 TERUのゲーム好きは有名な話だが、本人いわく「今までやってきたゲームの固定観念が一気にぶち壊れるほどハマる」という熱中ぶりで、彼のTwitterは『FFXIV』の話題ばかりになってしまうほど。だがファンの中には
【田中圭一連載:『龍が如く』編】「セガ、ハードから撤退」会社の危機に漢は吼えた――前例なき「任侠ゲーム」、表現規制との戦い、名越稔洋が選んだ修羅の道【若ゲのいたり】 第4話のあらすじ ゲーム業界の「青春期」に大奮闘したゲームクリエイターたちの、熱くて、若くて、いきすぎた思い出を田中圭一先生がたずねる『若ゲのいたり〜ゲームクリエイターの青春〜』。 第四回は、“裏社会”という当時タブーとされた奇抜なテーマでシリーズ累計950万本の大ヒットとなった『龍が如く』のシリーズ総合監督・セガゲームスの名越稔洋さんをゲストにお迎えしました。 “家庭用ゲーム機の製造販売”からの撤退を発表し、ため息と絶望がセガ社内に充満する2001年、ひとり顔を上げ新ジャンル開拓に血道を上げた彼は、なにと戦い、なにを守ろうとしたのか――。 熱い漢たちの奮闘記が、熱血劇画タッチで今ここに綴られます!(編集部)
貴重なレゲー1万本と雑誌を収集するフランス没落貴族!?→自宅に凸して数奇な人生を聞いたら、ただのガチゲーマーだった件【NPOゲーム保存協会:探訪レポ】 ゲーム保存協会というNPOをご存知だろうか? 1970~80年代の古いデジタルゲームを文化財として保存することを目的に、ゲームソフトやハードを収集修復するだけでなく、雑誌書籍や周辺資料などの保存活動をしている団体だ。フロッピーディスクやカセットテープなど、ゲームソフトを都内の本部アーカイブ室だけで約1万2000本保有している。最近では日本ファルコムから、1980年代に社内で活躍したユーザーサポート用フロッピーディスクのストック一式を寄贈されたことでも話題になった。 日本ファルコム株式会社さまから、ゲーム保存協会に資料寄贈いただきました。大切な歴史をしっかり引き継ぎアーカイブ室で長期保存します。夏にはアーカイブ室一般公開もはじめる予定ですが、
ニーア、ペルソナ等の人気ゲーム開発者が激論! 国内ゲーム産業を支える40代クリエイターの苦悩とは【SIE外山圭一郎×アトラス橋野桂×スクエニ藤澤仁×ヨコオタロウ】 海外のゲームファンたちの間で、「メタスコア」と呼ばれる指標がある。これは、複数のゲームレビューサイトの評価点を集計して、100点満点で算出したもので、そのゲームに対するメディアの評価を反映した数値として、よく海外では参照されている。 今年に入って、このメタスコアで一つ大きな変化が起きている――それは日本産ゲームの台頭だ。 『ペルソナ5』は93点を叩き出した (画像はメタスコアを算出している海外サイトMetacriticより) 具体的には、『ペルソナ5』、『NieR:Automata』……そして何よりも『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』。こうした昨年から今年にかけてリリースされた新作ゲームが、海外で翻訳されて高い評価を得
【東大研究者が解説】「ケモナーはスプラに来るな」→怒り心頭のケモナーらが動物イラスト大量投稿で抗議運動へ――いま海外で話題「ファーリーズ・ウォー」背景にある“差別” イカの画像を見てほしい。 Why is every post on Splatoon 2 about furries today? pic.twitter.com/28SdK8dUE5 — Ben Morton (@benrmorton) August 3, 2017 これは、7月末に世界同時発売され、ワールドワイドな人気を集めている大ヒットゲーム『スプラトゥーン2』で起きている光景だ。ここ数日、海外版の「広場」で大量の「ケモノ」イラストが投稿されていることが話題となっている。Twitterではその様子がスクリーンショットと共に拡散され、多くの世界中のユーザーが困惑している状況だ。 (画像は任天堂公式サイトより) 実は本件、そ
明後日、2017年7月21日にNintendo Switch対応ソフト、『スプラトゥーン2』が発売される。 (画像は任天堂公式サイトより) 『スプラトゥーン』【※1】が発売されたのは2015年5月28日だから、前作から2年ちょっとという、任天堂タイトルとしては珍しいショートスパンでの新作発売となる。それにもかかわらず、まだまだフレッシュな存在感は残しつつも、既に定番タイトルとしての安定感すら感じるタイトルになりつつあるように思える。おそらく新作も世界的に大ヒットし、Switch本体も枯渇状態が当分続くことだろう。 だが、2年足らずで『スプラトゥーン』がここまでの存在感を発揮するに至ったのはなぜだろうか。 その理由として、発表時点から鮮烈な印象をユーザーに与えることで、知る人ぞ知る隠れた名作や一部界隈で熱狂的な支持を受けるカルト的名作であるような、マイナーな存在だった期間がほぼゼロだった点を
クリエイターの水口哲也氏が昨年世に放ったPS VR向けコンテンツ『Rez Infinite』をご存知だろうか? きらめく光、音楽、振動などあらゆる要素が心地よくシンクロするシューティングゲームで、その衝撃的な映像体験は「The Game Awards 2016」の「Best VR Game」を受賞し、世界的にも高い評価を得るに至った。 電ファミでは、過去に水口氏へのインタビューを敢行し、氏が人生を賭して追い求めていったその壮大な“ビジョン”と、『Rez Infinite』の到達点について伺った。 水口哲也のハチャメチャ人生が『Rez』で人類を進化(?)させるまで。「制約が創造を生む」なんて、もう言い訳しない【ゲームの企画書:水口哲也氏】 しかし、水口氏は今なおその理念を具体化する活動をしている。その一つが、『Rez Infinite』の体験をさらに強化しようと製作に取り組んでいる「シナスタ
【対談:「ゲームキッズ」渡辺浩弐×赤野工作】「そのゲームが面白くないなら、遊んでるヤツがつまらない」ゲームレビューの文学性とメタフィクションの可能性とは? 2017年6月30日、「未来のゲームをレビュー」した書籍が発売される。その名は、『ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム』。書き手の赤野工作氏にとって、デビュー作となるSF小説だ。 『ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム』(KADOKAWA・2017/6/30発売予定) (画像:編集部撮影) いったいこの本に収められた「未来のゲームレビュー」とは何なのか? それは小説投稿サイト「カクヨム」にて赤野氏が書いた、架空のゲームについてのレビューたちのことだ。だが驚くべきは、その設定の凝り具合にある。――舞台は2115年、つまり100年後の未来に氏が開設したゲームのレビューサイト。そこで赤野氏は、この100年に発売されたさまざまなレトロゲーム
1980〜1990年代、ゲーム業界は「青春期」だった。そんな時代に大奮闘したゲームクリエイターたちの、熱くて、若くて、いきすぎた思い出をたずねたい──そんな想いから企画されたレポートマンガ、それが『若ゲのいたり〜ゲームクリエイターの青春〜』です。 近著『うつヌケ』、『ペンと箸』に続くレポートマンガ第3弾として本作を手掛けるのは、自身がゲーム業界で働いていたという経歴を持つマンガ家・田中圭一先生! 第一回のゲストは、『ファイナルファンタジー』の生みの親・坂口博信さんです!!(編集部) English version is available at: 【New Comic Series】Hironobu Sakaguchi and FF programmers’ try to rival DQ [Game Designers in their ‘early’ days]
歴史の話にくわえて、海外と日本のゲームAIを巡る「認識の落差」についても、三宅氏に語っていただいているので、ぜひ未読の方はご一読いただければと思う。 ところで、この「ゲームAI」史の記事の中で、1980年に発売されたアーケードゲームの名作『パックマン』が、どうやら「ゲームAI」の起源らしいという話が、三宅氏によって語られている。 「世界一売れたアーケードゲーム機」としてギネス記録にも載っている、この40年も昔の名作が「世界最古のゲームAI」でもある――それは一体、どういうことなのか。しかも、『パックマン』の開発人数は、たった7〜8人。どのような経緯で、当時のナムコは21世紀のゲーム開発にも通じる「ゲームAI」の発想を必要としたというのか。 ――実は、その謎を解き明かすイベントが、去る2016年12月12日に開催されている。 『人工知能の作り方 ―「おもしろい」ゲームAIはいかにして動くのか
鈴木裕氏: ただ、そうね……僕は全盛期に世界のトップシェアを取っていた日本が、こんなふうに海外に負けてしまったことが、やっぱり悔しいんですよ。だって、セガが全盛期の頃、僕たちは圧倒的な世界一のゲーム大国だったんです。(中略)ちゃんと新しい武器を製造しないとダメです。だって、良い武器があったら、色々なツールを工夫したりして、少人数でも勝てるんですよ。 そんな鈴木裕氏がインタビュー中、非常に強い興味を持って語っていたのがAI技術だった。そして先にズバリ言ってしまうと、この記事は、日本のゲーム産業が21世紀に世界市場で存在感を失い、今や新興国の国々までもが背後に迫ってきたシビアな状況に、実は「AI技術の軽視」という問題が一つあるのでは――という視点から強く光を当てるものだ。例えば、しばしば日本のゲーム業界の「敗因」として、グラフィックの人材不足や大規模マネジメントの失敗などの問題が挙げられる。だ
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