『ボヘミアン・ラプソディ』全国公開中/配給:20世紀フォックス映画/© 2018 Twentieth Century Fox 大ヒット映画『ボヘミアン・ラプソディ』は、多くのファンや観客を魅了した。しかし、気鋭の映画研究者・伊藤弘了氏によれば、同作とナチ・ドイツ時代のプロパガンダ映画には、共通する映像戦略があるという。そしてその手法は、アイドルにも及ぶ。どういうことなのか。論考「國民的アイドルの創生」で映画評論大賞2015を受賞した伊藤氏が、大衆を惹きつける存在の“危険な魅力”を解き明かす。 ※本稿は『Voice』3月号、伊藤弘了氏の「『ボヘミアン・ラプソディ』の危険な魅力」を一部抜粋、加筆・編集したものです。 映画は危険物である ここに切れ味抜群の一本の包丁があるとする。一流の料理人なら、これを使って人々を感動させるようなすばらしい料理を作ることができるだろう。一方で、同じ包丁を使って人