『無理ゲー社会』橘玲が語る、自由な社会の生きづらさ 「自分らしく生きられる世の中になったからこそ、利害が対立する」 現代社会は誰もが困難なゲームを生き抜くことを強いられているーー。作家の橘玲氏の『無理ゲー社会』(小学館新書)は、リベラルで自由な社会における競争や格差の残酷さを論じている。世界各国で深まる分断の背景には「自分らしく生きる」価値観があった? 知能格差によって開く経済格差、さらに新たに加わる評判格差とは? 橘氏に「無理ゲー社会」論について聞いた。(篠原諄也) 自由な社会の残酷さと生きづらさ ーー「無理ゲー社会」というテーマにしたのはなぜでしょう? 橘玲(以下、橘):この本は2019年に刊行した『上級国民/下級国民』(小学館新書)の続編の位置づけです。現代社会の生きづらさがさかんに語られますが、昔と比べて客観的には生きやすくなっている。豊かさや安全性、スマホのようなテクノロジーなど