なぜ戦いが起きるのか、どうすれば終わるのか。それを考察するのが軍事研究だ。東京大学史料編纂所教授の本郷和人さんは「戦後、日本史研究では軍事史が排除されてきた。だが、戦争は政治の延長線上にあるものだ。むやみに批判するのではなく、学問として考察することが重要ではないか」という――。 【写真】東日本大震災で陸自部隊の活動拠点となった石巻市総合運動公園=2011年4月2日 ※本稿は、本郷和人『「合戦」の日本史 城攻め、奇襲、兵站、陣形のリアル』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。 ■「軍事研究はやってはいけない」という雰囲気 武士とその歴史を見るとき、やはり考えなければならないのは軍事であり、軍事史なのだと思いますが、実際には戦後、日本の歴史研究というのは政治を中心とした政治史のかたちで進められてきました。そこには、軍事史をある種のタブー扱いする傾向があったことが見て取れます。 その大き