もう先月のことになるが、新宿古書展で、木下杢太郎訳『支那傳説集』(座右寶刊行會,1940)を買った。これは改訂版というべきもので、その約二十年前に元版が精華書院からでている。「世界少年文學名作集」というシリーズの一冊として(第十八巻)である。 いずれも函附完本であるらしいが、私の持っているのはどちらも裸本。愛書家というわけでもないので、廉価で入手しさえすればそういうことはあまり気にしないのだが、挿絵*1が豊富で、たたずまいが美しいのは精華書院版。こちらは目で見てたのしめる。しかもクロス装本だから、本そのものもしっかりしている。 一方の座右寶版は、表紙に梅原龍三郎の絵が描かれてあり美しいのだが、残念なことに紙装なので、背も弱い。 とはいえ、本文を読むとなれば、これは断然、座右寶版のほうがいい。元版はとにかく誤植が多いのだ。序文からして、『子不語』を『子不言』とし、レオン・ウィーガー(木下の表