新日本監査法人が東芝の不正会計を見抜けなかったことで、過去最大の課徴金が課される中、企業会計を揺るがす事態が生じようとしている。2015年12月28日、企業会計基準委員会(ASBJ)は、「繰延税金資産」を計上する際の”回収可能性”について、指針を公表した。 これは2016年4月1日以降に始まる決算期から強制適用となる。つまり3月期決算が多くを占める日本企業では、来2017年3月期以降だ。第1四半期(2016年4~6月期)から、企業はこの指針に従わなければならない。ただ、早期適用をしたい会社なら、今2016年3月期から、すなわち、2015年4月1日にさかのぼっての適用も可能である。 繰延税金資産の回収可能性というルールを変更すると、税引前利益には影響しないものの、最終利益には影響してくる。回収可能性がなくなれば、繰延税金資産を取り崩すことで、取り崩した決算期に、最終利益の減益要因となるのだ。