米連邦準備制度理事会(FRB)や日銀の後を追う形で、欧州中央銀行(ECB)が1月に量的緩和導入を決めたが、カナダやインドなど世界の国々も金融緩和へ向かっている。メディアでは「通貨戦争」という言葉が見られるようになったが、本当に「戦争」といえるようなことなのだろうか。 「通貨戦争」という言葉を使う人は、1930年代の大恐慌は各国の通貨切り下げ競争によって激化したという神話を信じていることが多い。 しかし、この神話は、経済理論的に間違っていたことが最近の研究で明らかになっている。バリー・アイケングリーン・カリフォルニア大教授とジェフリー・サックス・コロンビア大教授は、戦間期の為替切り下げ競争が生み出したものは壊滅的な結果ではなく、各国とも好ましい結果になったことを示した。 為替レートは原則としてそれぞれの通貨の相対的な存在量で決まる。相対的に希少な通貨ほどレートが上昇するので、金融緩和すれば確