重大少年事件の記録を「特別保存」(永久保存)する規程を設けながら、なぜ全国各地の裁判所は捨ててしまったのか-。問題が明らかになる契機となった神戸連続児童殺傷事件(1997年)の記録廃棄について、神戸家裁で最終的に決断した元首席書記官の男性にたどり着いた。元職員らに取材を重ねると、規程の曖昧な運用とともに、半ば機械的に廃棄された可能性が浮かび上がる。 【図解】裁判所内の記録の特別保存に関するルール ■所長決済の印影欄なかった 「そりゃ忘れませんよ」。神戸家裁で少年首席書記官だった男性は、同事件の記録廃棄の事実について問うと口を開き、こう続けた。「私が(書類に)判を押し、記録を見送った」 少年事件記録は成人の刑事裁判と違って保存期限を定める法律がなく「事件記録等保存規程」という最高裁の内規により、保存は少年が26歳になるまでとされている。連続児童殺傷事件の場合は2008年。廃棄は11年2月28