昔、その糸満村にマンクーという大変働き者の漁師がいました。ある時マン クーは櫂(かい)を漕ぎ、サバニを走らせていたところ、突然大きな波が押し寄 せサバニもろとも波に呑まれてしまいました。 泳ぎの達者なマンクーは、なんとか岸まで泳ぎつくことができたものの、 大事な漁具をすべて失ってしまいました。困り果てたこの漁師をみて、薩摩の 児玉左衛門という武士が金を貸しました。マンクーは大変喜び、翌年の三月ま でには返すことを約束し、薩摩へ帰る児玉左衛門を見送りました。 マンクーは懸命に働きましたが時化(しけ)続きで、食べていくのもやっとで した。またたたく間に月日がたちとうとう返済の日がやってきました。 マンクーは、児玉左術門に返すことがでさないことを深く詫び、次の年には 必ず返すことを約束しました。しかし、次の年にもやはり返すことができず、 また次の年までと願いました。 そして、とうとうその日がまた