新刊『臆病者のための裁判入門』(文春新書)の「はじめに」と「目次」をアップします。 ************************************************************************ はじめに 最初に断っておくが、「裁判入門」といっても、本書で扱うのは刑事事件ではなく民事訴訟で、それも数万円から数十万円といったきわめて少額の話だ。そのうえ私は法律に関してはまったくの素人で、専門教育を受けたこともない。そんな私がなぜ、司法制度についての本を書くのか? 裁判員裁判が始まったこともあり、ほとんどのひとが「裁判」と聞くと刑事事件を思い浮かべるだろう。だが刑事裁判は、平凡で堅実な社会生活を送っているひとにとって身近なものではない。 年間の刑事事件は110万件前後だが、これは略式事件などを含めた数字で、裁判官や裁判員の前で検察官と被告弁護人が主張をたたかわ
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