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  • 報告には行動目標が必要 - レジデント初期研修用資料

    業務における報告は、個人的には簡潔であるほど好ましい。話しかたこそ丁寧なのに、題に相当する内容がなかなか始まらない報告は、できることならやめてほしいなと思う。 簡潔な報告には行動目標が含まれている 何かのプレゼンテーションを行うときには、それを聞いた相手がどうなってほしいのか、あらかじめ目標を立てておかないといけない。目標なしにスライドを飾っても面白いプレゼンテーションにはならないし、なによりもそうしたプレゼンテーションは、聞いた人に満足が生まれない。 業務におけるちょっとした報告もまた、それを聞いた相手にどうなってほしいのか、行動目標みたいなものを頭に置いて行うと、簡潔で分かりやすい報告を行うことができる。 報告を行なって、相手に判断させたいのか、それとも病棟に来てほしいのか、あるいは書類にサインをさせたいのか、行動目標のある報告は、前半の2割ぐらいを聞いた時点で、自分なりに何をすれば

    yogasa
    yogasa 2013/06/14
    確かに話し聞いてても何が言いたいのというひとは大抵これが抜けている
  • 「イマココ !」の効用 - レジデント初期研修用資料

    何かの事件2ちゃんねるで盛り上がると書き込みが増えて、同じ話題でいくつもの板が作られる。 新しい板がたったときには、たいてい最初にまとめがあって、事象の始まり、悪化していく現状、予測される最悪の状況などが箇条書きにされ、「<- イマココ ! 」という書き込みで現在の場所が示される。 箇条書きに取り上げる文言は任意のものだから、ああいう書きかただって歪みから自由になることはないにせよ、「イマココ!」 というまとめかたをされた説明は話の見通しがよくなって、読む人を冷静にさせる効果があるように思う。 メルトダウンの昔 原発事故の発生直後、炉心内部の水位や温度、測定された放射線の量こそ報道されていたけれど、「結局それはどういうことなのか」という概略を理解するには、原発というシステムは複雑に過ぎた。 マスメディアの人たちは「メルトダウン」の有無を報道の重点に置いていたのか、東電の人たちが何かを発表

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    yogasa 2013/05/05
  • 名門再起の物語 - レジデント初期研修用資料

    ガールズ&パンツァーはもう毎回が楽しみで、びっくりするぐらいに面白かったのだけれど、続編を期待していいのならば、主人公チームに敗北した側、黒森峰高校の逸見エリカを主役に、敗北の結果として、士気も結束も失った名門チームの再生と、困難な状況の中、隊長職を引き継いだ個人の成長みたいなものをテーマにしてほしい。 味方はどこにもいない 決勝戦を終えた時点で、逸見の置かれた状況は、恐らくは相当に悪くなる。 頼りの隊長は卒業するし、そもそもが家元の娘、国際的にもすでに有名な選手を今さら批判するOBもおらず、伝統校の敗北は、結果として隊長の孤立を許した副官が戦犯として囁かれることになる。 決勝戦には危うげなく勝ち進んだとはいえ、二連敗した名門には後がないし、そんな状況で火中の栗を拾う人もいないだろうから、戦犯たる副官は、消去法でそのまま隊長職を引き継ぐことになる。プレッシャーは莫大で、伝統は消えかけて、逸

  • コントロールについて - レジデント初期研修用資料

    問題に対して提案できるプランがあれば、状況はコントロールできる。 問題に対して上司と部下とのチームがあって、どうすればいいのか、正解に到達するためには何が不足しているのか、上司も部下もそうした問いに答えを持っていないのならば、経験年次を無駄に費やしてしまったぶんだけ、上司の方が問題に対してより無能であるといえる。 誰だって自分の無能を認めるのは嫌だから、アイデアの不在は暴言や暴力で穴埋めされて、結果としてチームからはコントロールが失われてしまう。 経験の意識化と体系化 不明の状況に対して説得力のあるプランを提案するのに必要なのは、経験の意識化と体系化なのだと思う。 経験を体系化して持っている人は、不明の状況に対峙してもなお、自分の能力でコントロールできる部分を、不明から切り出せる。問題の大きさは切り出した分だけ小さくなるから、解決はそれだけ近づいてくる。経験の体系化が不十分だと、未知はま

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    yogasa 2013/02/06
  • ガタがあるからうまくいく - レジデント初期研修用資料

    先週の日曜日には、熱を出した子供さんが100人近く来た。休みが明けて、外来が始まって、 もちろん「それ以上」を覚悟していたのだけれど、外来は、平和なままだった。 インフルエンザはたしかに流行しているんだけれど、パンク寸前の休日外来は、 みんな「休みだから」病院に来てたわけで、「熱が出たから」病院に来た人は、実は案外少なかった印象。 遊びが減ってこうなった 社会から「遊び」要素が減って、平日にみんな、休めなくなった。 土日をずらして営業していた病院というのもあって、一時期はうまく機能していたんだけれど、結局みんな止めてしまった。土日外来の収益自体はよかったのだけれど、世の中が土日休みで回ってるから、役所とか学校とか、「平日」を要求する場所がシビアになって、スタッフに子供ができると、組織が瓦解しちゃうんだという。 世の中の遊びが減って、しわ寄せが、緊急避難装置的な場所に集まって、結果として、救

  • 購買のソーシャル化 - レジデント初期研修用資料

    Kindle は線を引いたりページを折ったりといったことができないから、今はもっぱら漫画ばかりを買っているのだけれど、クリックひとつでもう購買が終了するこのやりかたは、お財布の底が抜けそうで怖くなる。 電子書籍を売る側の人たちは、もちろん読者にはもっとを買ってほしいのだろうから、電子書籍の購買は、そのうちゲームみたいになるのだろうと思う。 ソーシャル化の未来 そのうちたぶん、タブレット端末からKindle のアプリを立ち上げると、画面にはまず真っ先に「お友達の〇〇さんがこのを買いました!!」というアナウンスがプッシュされるようになる。Amazon で自分が何かのを買えば、当然その内容も他のユーザーに配信され、Amazon のサイトを眺めれば、ユーザーの興味に応じたランキングリストが用意され、自分がその中でどれぐらいの順位にあるのか、あるいはの購買を通じて得ることができた「称号」を閲

    yogasa
    yogasa 2012/12/04
  • マンション販売の人が来た - レジデント初期研修用資料

    「節税になるからマンションを買いませんか?」という電話が、病院にはよくかかってくる。 地域を変えながら、今まで仕事をしてきたのだけれど、マンション購入の勧誘電話は、どこでもなぜか、「大阪マンション」を勧めてくる。だいたい6000万円ぐらいでマンションをローンで購入することで、ローンに支払うお金を経費で落とせば節税になり、なおかつマンションは誰か別の人に賃貸することで家賃収入が得られ、最終的に資産になるから、「先生が損をする可能性はありません」とたたみかけてくる。 自分はいつも、勧誘電話をすぐに切ってしまうのだけれど、人によっては話を聞いて、あとから内容を教えてくれたり、あるいは実際にマンションを買って、特に開業医の先生なんかで、マンションを4つぐらい抱えて身動きが取れなくなっている人がいる、なんてうわさ話を聞いたこともある。 物が来た 今いる施設は、事務の段階で電話を断ってくれる。「マ

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    yogasa 2012/10/20
    俺のとこは横浜の物件が多いな. / 相手に相槌てきとーに返してたら業者のDBに40代子持ちの課長ぐらいのオッサンという扱いになった模様.オッサンが率先して電話とりする社風じゃないのだがw
  • 人事の説得技術 - レジデント初期研修用資料

    最近話題になった、私はこうして退職を強要された/NECリストラ 面談一問一答メモ という記事を読んで、ネットでいろいろ教えていただいたことのまとめ。 独特の言葉遣いについて 記事中では、NECからの退職を拒否した「男性」が、11回も繰り返される面談を通じて、「上司」から退職を要請される。 上司が執拗に繰り返す「今の職場で今のまま業務を続けてもらうのは難しい」という文言は、読んでいて息が詰まりそうになる。 男性が何を問うても、上司は同じ言葉を繰り返す。記事の後半、激昂した上司が一瞬、普通の言葉で「男性」を叱ってみせるけれど、すぐにまた「今の職場で今のまま業務を続けてもらうのは難しい」という文言に戻る。上司はたぶん、何かの意図があって同じ言葉を繰り返しているのだけれど、自分には当初、その理由がよく分からなかった。 ある意図を達成するために作られた特別な言葉というものがある。有名なのが「記憶にご

  • ゲームの進化について - レジデント初期研修用資料

    「シューティングゲームは、「弾をよけながら敵を撃破するゲーム」ではなく、「弾幕デザイナーの意図にそってレバーとボタンを操作する作業」であるといえる。RPGも同様に、プレイヤーは操作や判断を洗練させるほど、それはゲームデザイナーの意図した通りの動きに収斂していく」とTwitter に書き込んだら、「そんなことはないだろう」という反響がけっこうあった。そのあたりのいいわけ。 昔話 小学生の昔、ブロック崩しにこそ出遅れたけれどスペースインベーダーは現役で間に合って、ギャラクシアンに驚き、ムーンクレスタ3号機の理不尽に泣き、ディグダグの画面がカラフルなのに驚いたらもう中学受験は目前だった。 中学校に入って、久しぶりのゲームセンターではボスコニアンが稼働していて、よく聞こえない合成音声に首を傾げる真横では、同級生がハイパーオリンピックに熱中していて、ゲームセンターではそれからしばらく、ボタンが溶けた

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    yogasa 2012/10/07
  • チームワークとは「いい敵」の共有 - レジデント初期研修用資料

    チームワークは大切だけれど、リーダーがチームに対して、「チームワークを大事にしましょう」と諭してしまうと、誰もが「チーム」に遠慮する。結果としてたぶん、チームの能力は集まった人数を下回る。 チームには「敵」が必要 チームワークとは、チームが「共通の敵を持つこと」で生み出される。「チームをまとめるためには敵を探そう」が、リーダーが身につけるべき方法論でもある。 「敵」という存在は、対立や排除の対象であって、概念を共有した上で、それを「敵」と名指しすることで、チームには「何をやらないのか」、「誰に嫌われるのか」が共有される。 「敵」を名指しすることは、だからリーダーが戦略を策定するのと同じ意味を持つ。 目的の共有には意味が無い 目的とは単なる到達点で、どれだけそれを熱心に説いたところで、そこに到達するための道程は共有できない。メンバーの思い描いた道筋はバラけてしまうから、チームは結局まとまれな

  • 不自由さには意味がある - レジデント初期研修用資料

    ネット世界の自由度は増していく一方で、テキストを書いたり検索したり、今はもうほとんどリアルタイムで行うことが出来るようになったけれど、ユーザーの自由度が増すことで、失われるものはけっこう多い。 ユーザーにある種の不自由を押し付けることで得られる効果というものがいくつかあって、そうした不自由を提案するサービスが見てみたいなと思う。 Twitter では隣が見えない Twitter みたいなテキストメディアに全文検索を行うと、目当ての話題に一瞬で到達できる。これは便利である代わり、精度が細かすぎるきらいがある。目当ての単語が定まっているのなら検索は容易だけれど、「だいたいこのあたりの話題」とか、「検索ワードの周辺の会話を探したい」とか、あるいは「今盛り上がっている何か」を探すことが難しい。 テキストメディアに比べると、セカンドライフみたいなアバターを用いたコミュニティはとても不自由に見える。バ

    yogasa
    yogasa 2012/09/03
    不自由な掲示板ってポケモンひろばか.タマタマ ナエトル みないな会話でもしてろ
  • 更新コストと能力 - レジデント初期研修用資料

    教科書をどれだけ熱心に読んだところで、教科書に書かれたことをそのまま当てはめれば解決できる問題は少ない。 読んだから得られた知識は、問題の解決に役立つ形に編集して、自分の道具として使えるようにしないと、学習する意味が無い。 状況は変化する 問題の形は無数にあって、状況は変化する。 変化に応じて、自身の知識も変化していくのは当然だけれど、品質を落とさずに知識の更新を行うことは、案外に難しい。 それが物理的なメモであれ、脳内メモであれ、ある程度程度まとまった知識を文章として残すことを考えた際には、誰だって無駄なことはしたくない。論の起こしかたが異なっても、似たような結論に導く段落が2つあったら、2段落目の結論部分はどうしても余計に思えてくる。無駄の多い文章はみっともないけれど、それを省いてしまったり、まとめてひとつの大きな段落を作ったりすると、知識は変化に対応できなくなってしまう。 編集者の

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    yogasa 2012/08/11
  • 必要なものとほしかったもの - レジデント初期研修用資料

    「必要なもの」の反対語は「ほしかったもの」なのだと思う。 必要なものは目的が作り出す。たいていはいつでも買えるし、買った結果は見通せる。ほしかったものは出会いが作り出す。出会ったその瞬間まで、お客さんは「それがほしかった自分」がいたことなんて想像だにしない。 必要なものはあらかじめ想定された選択肢であって、買い叩かれる対象でもある。それが必要なものになったその途端、その商品は価値を失うと言い換えてもいい。欲しかったものは、出会う時まではお客の頭に存在しない。選択とは無縁の何かで、価値は下がらない。 田舎のホームセンターは十分に大きくて、必要な物はなんだって揃っているのに、欲しいものが何もない。何かの機会に東京に出かけると、地下街を歩くのが常なのだけれど、欲しかったものばかりがそこにあってびっくりする。実際にそれが必要かといえばそうでもないし、ホームセンターを探せば、欲しかったその商品と同じ

    yogasa
    yogasa 2012/07/30
  • 危機対応覚え書き - レジデント初期研修用資料

    ファーストサーバーの事故対応や、そのユーザーである「前代未聞空前絶後の無限地獄に叩きこまれた」「阿鼻叫喚のハンバーガーヒルを駆け抜けたサーバ管理者」の方々の、いろんなつぶやきを読んで考えたこと。 口をひとつに 危機対応を行う際には、判断に専念するリーダー役と、発表やコミュニケーションに専念するネゴシエーターと、できれば別々に、それぞれ専属の誰かを置いたほうがいい。 危機の当初は情報が錯綜するし、危機に対応する側も、あるいはその危機から被害を被った側も、様々な「当事者」が情報を発信する。危機に対応する側は、恐ろしく忙しいことになっているにせよ、この情報を放置してしまうと、2ちゃんねるあたりに「現場の声」が匿名で掲載され、ニュースになって収拾がつかなくなってしまう。 佐々淳行のでは、危機対応のリーダーを決定したら、「まずは緘口令をしけ」と説く。記者の人たちが何を聞いても、「命令」がそこにあれ

  • 悪役には「ずれ」がある。主役には欠落がある - レジデント初期研修用資料

    漫画原作者である小池一夫 さんの「主人公には弱点を。敵役には欠点を」という教えは、シンプルなのにとても深いなと思う。物語を作る側ではなく、読む側からそれを改変すると、主役には「欠落」を、敵役には「ずれ」を、になるのではないかと思う。 悪の組織は素晴らしい 主人公に立ちはだかる「悪の組織」を束ねるのは、理想の上司と形容されるような素晴らしい人物でないといけない。 「ブラック企業」に代表されるような、部下をこき使う、魅力のかけらもないような人物を悪の黒幕として設定すると、主役の戦いに大義が生まれない。 ブラック企業上司は、部下となった人たちから選択肢と睡眠時間を奪う。部下に対して、組織に賛同する意思を引き出すのではなく、「組織に賛同しない」という選択肢を奪おうとする。物語ではたいてい、主人公は悪の組織に何かを奪われた存在として描かれるけれど、「ブラック企業」的な組織の末端には、やはり大切な何

  • 熱心な人は恐ろしい - レジデント初期研修用資料

    それが敵であっても味方であっても、正義や熱意で動く人というのは恐ろしい。 損得勘定で動く人なら、立ち位置が異なっても会話はできるし、お互いの行動はある程度読めるけれど、正義や熱意で動く人はまず真っ先に損得勘定を除外するから、何が出てくるのか分からない。 有能な敵は頼りになる 「有能な敵」は、状況によっては味方よりも頼りになる。「無能な味方」は、もしかしたら真っ先に背中を刺しに来る。 嗄幼くてはいけない相手だからこそ、抜け目のない敵は相手をよく観察している。観察した相手だからこそ話は通じて、立場は異なっても、ゆがみのない会話ができる。味方を自認する人は、味方であることにしばしば安住してしまう。観察を怠った人は、「あいつならたぶんこうだろう」という予測が外れると怒り出す。味方であったはずなのに。 当直時間帯における頼るべき「有能な敵」は、「見逃すと翌朝までに患者さんが亡くなりうる疾患」のリスト

  • 砂場としての2ちゃんねる - レジデント初期研修用資料

    ネットは年々厳しくなっていくように思える。 ルールは昔を引き継ぐものだから、昔からいる人たちはすでにルールを知っていて、ルールはますます複雑に、あとから入ってきた人には分かりにくいものになった。ネットワークでできることはずいぶん増えて、ネットのうわさ話がニュースに取り上げられる機会も増したけれど、結果としてこれは、「やってはいけないこと」をやってしまった人が負うべきペナルティを、ずいぶん重たいものにしてしまった。 取り返しのつかない状況に陥るまでの時間も短くなった。HTML の昔なら、記事を書いて検索エンジンに取り上げられるのに1週間ぐらいかかったけれど、blog の記事をネットに上げると、5分もすれば Google の検索に引っかかる。Twitter はもっと速くて、書いて1分もすると、もう検索サイトにログが残って、そうなるともう、自分では記事をコントロールすることができなくなってしまう

  • 乱暴な言葉の使いかた - レジデント初期研修用資料

    状況に火がつくと、たいていの人は足がすくんで立ち止まる。不明の状況にあって、動くことを決断するのは大変で、止まるとたいてい、状況はもっと悪くなる。 最初に動いて、乱暴な言葉で大声を張り上げて、背中を押せる人が、だから必然的にリーダーになる。 「怒鳴りかた」にも文法があって、単に大声を出せる人と、大声で指示を出せる人とは異なってくる。 人望のあるイワシはいない イワシの群れのどこかにも「頭」に相当する個体がいる。「リーダーイワシ」は、人望があるとか、他の個体より頭がいいとか、リーダーシップにつながる何かを持っているわけではなくて、単に「一番最初に舵を切った」ということが、その個体を暫定的なリーダーに押し上げている。群れの生き死にがかかっている状況にあって、まわりの情報を把握できている個体がいないのならば、最初の判断を行った個体に、群れはそのままついていく。 選択枝を明らかにした上でお互いの落

  • 否定の深度について - レジデント初期研修用資料

    「いい仕事してますねぇ」の、「なんでも鑑定団」に出てくる鑑定人、中島誠之助の語りが素晴らしいと思う。いかがわしさと人当たりのよさと、矛盾が見事に同居しているようなあの話芸は、出品されたものが「贋作」であったときに、出品者を否定するときに威力を発揮しているように思える。 欠けているものと過剰なもの 鑑定を依頼された何かが「偽物」であったときには、鑑定人の人たちはたいてい、「これは物ではありません」と、冒頭に宣言する。宣言したあと、「依頼品にはこの要素が欠けています」と、物に比べて、足りないものを指摘する。やりかたとして、これは全く間違っていないけれど、鑑定を依頼した人は、「欠けている」その依頼品を嫌いになってしまう。 中島誠之助が偽物を鑑定するときには、「もしも」から入る。 「もしも物だったら」で語りをはじめて、それが素晴らしい価値を持つこと、当時人気があったこと、現存していればすごい

  • 理念とは卑怯の提案 - レジデント初期研修用資料

    30年以上も昔、担任の先生が産休に入って、代打要員として、音楽の先生が県から派遣されてきた。ちょうどその頃、県の音楽コンクールが重なっていて、「どうせでるなら勝ちましょう」なんて、いろんなことを教わった。 柔らかい音を出す 「トライアングルを柔らかく鳴らしましょう」というのが、演奏の課題として取りあげられていた。 どれだけの感情を込めたところで、あれだけシンプルな楽器を「柔らかく」鳴らす術は分からなかったのだけれど、その先生は、「柔らかいとは、紐の根を固く持つことだ」なんて教えてくれた。「柔らかい」というのは、要するに響きの減衰が早いことと同義であって、トライアングルを吊っている持ち紐の、トライアングルに一番近い場所を固く握ることで、音は「柔らかく」鳴るのだと。 縦笛を鳴らす人は、パートが終わった瞬間に両手を膝の上に置くときれいに見えること。シンバルを叩く人は、叩いたあとでシンバルごと「