この間の両軍の戦いを概観すると、侵攻当初は主に戦車・装甲車と対戦車兵器の戦い、これらを支援する砲・戦闘機などによる攻撃が行われた。 その後、次第に戦車・装甲車・戦闘機の損失が大きくなり、これらに代わって対砲兵戦と無人機による攻撃が増してきた。 両軍の近接戦闘(イメージ)
![攻勢に出る戦力がなくなったロシア軍、11月までに火砲使い尽くす? 各種兵器の損耗率から見えてきたロシア軍の実態と戦況分析 | JBpress (ジェイビープレス)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/5c317c7341a010b31c1955505fa0d100dddb3da4/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fjbpress.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2Ff%2Fe%2F1200mw%2Fimg_fe67787fabbbd5b392468074380eba5c109511.jpg)
(馬 克我:日本在住中国人ライター) 1980年代、改革開放政策により中国は再び門戸を開き、大量の海外文化がどっと流れ込んだ。中国共産党政府はこの状態を受け入れる一方で、注意深く統制を行ってきた。 例えば、海外のテレビ番組もかつては中国に入ってきたが、中国共産党が認めない内容を放送するとすぐさま中止された(詳細は本コラム「日本のアニメを見て育った中国『改革開放』世代の嘆きと絶望」を参照)。ハリウッド映画も中国で上映するには厳しい検閲を受けなければならず、輸出映画本数も制限されている。 しかし、中国共産党政府も全てを統制できるわけではない。かつて、彼らが思いもよらないところで、アメリカのある文化製品が絶えず中国に入ってきていたのだ。 アメリカの廃プラスチックに埋もれていた「宝物」 2018年初頭、中国は新しい輸入規制を施行し、廃プラスチックを含む24種類の固形廃棄物の輸入を中止した。 長い間
エネルギー供給事業者のシュタットベルケを訪問したドイツのショルツ首相(8月12日、写真:ロイター/アフロ) 【本記事は「プレミアム会員」限定記事ですが、特別無料公開中です。プレミアム会員にご登録いただくとJBpressのほぼすべての過去記事をお読みいただけます。この機会にぜひご登録ください。】 安全保障とエネルギーに関するより現実的な政策は、ドイツが欧州を先導することに役立つはずだ。 昭和天皇の言葉を借りるなら、ウクライナでの戦争は「必ずしも好転せず」、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に有利な方向へ傾かなかった。 戦争によって、フィンランドとスウェーデンは北大西洋条約機構(NATO)の保護下に駆け込んだ。 ウクライナのナショナリズムが深まり、プーチン氏の専制に代わる政治体制としてウクライナが示す民主主義が強まり、ロシアのエネルギーを購入していた顧客がよそに目を向けるようになった。 また
(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎) 安倍晋三元首相が銃撃されて死亡した事件から、8日でちょうど1カ月になる。 事件をきっかけに、日を追うごとに統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と政治家、それも自民党議員との関係を問題視する世論が高まってきた。共同通信が7月末に行った世論調査でも、統一教会と政界の関わりについて実態解明の「必要がある」と答えた人は8割にのぼる。 そして、10日に予定されている内閣改造、自民党役員人事を前に、岸田文雄首相は6日の記者会見で閣僚などの人選をめぐり、統一教会との距離を重視する考えを示した。 「新たに指名する閣僚だけでなく現閣僚や副大臣も当該団体との関係をそれぞれ点検し結果を明らかにしてもらう。その上で適正な形に見直すことを指示する」 首相本人は「私個人は知る限り、当該団体とは関係ない」としながら、こうも語っている。 「閣僚は国民に疑念を持たれないように、社会的
台湾・台北を訪れたナンシー・ペロシ米下院議長(2022年8月3日、提供:Taiwan Presidential Office/AP/アフロ) (福島 香織:ジャーナリスト) 先週、本コラム(「米中軍事衝突の引き金に? どうなるペロシ米下院議長の台湾訪問」)でも取り上げたナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問団が、8月2日現地時間午後10時44分、無事に台北市の松山空港に到着した。おそらく多くの人たちが「フライトレーダー24」でペロシ搭乗機を追い、ネットの中継でその無事到着を確認してホッとしたことだろう。 ペロシはグランド ハイアットで一晩宿泊し、8月3日午前、立法院(議会)を訪問し、蔡其昌副院長と会見。続いて総統府を訪問し蔡英文総統と会見した。午後は国家人権博物館(白色テロ景美紀念園区)の訪問などをしたあと、現地時間午後5時頃、19時間の滞在を終えて次の訪問地に向かった。 1997年の野党の
(池田 信夫:経済学者、アゴラ研究所代表取締役所長) 凶弾に倒れた安倍元首相の外交についての評価は高く、世界259カ国・地域から弔辞が届いたが、経済政策の評価はそれほどでもない。ラリー・サマーズ(ハーバード大学教授)のように「アベノミクスは任務完了したわけではない」というのが、多くのエコノミストの評価だろう。 「デフレ脱却」のために安倍氏の選んだ政策は金融政策だったが、残念ながらそれは成功しなかった。インフレ目標2%は、彼の死の直前に資源インフレで達成されたが、その成功を祝う人はいない。アベノミクスはなぜ失敗したのだろうか。 アベノミクスの効果は「偽薬効果」 第2次安倍内閣が2012年12月に誕生したとき、株価は大きく上がり、年末の日経平均株価は前年に比べて20%も上がった。これは奇妙な話である。安倍内閣が成立したのは12月26日で、仕事始めは2013年初めだったので、何もしないときに株価
先週7月13日未明に、ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領がモルディブに脱出し、大統領職を辞すという驚愕の展開を見せたスリランカ。日本では、「中国が借金漬けにした結果、『債務の罠』にハマって国家破綻した」という「中国悪者論」が主流になっている。 だが、スリランカのケースを、銀行と企業の例に当てはめるとどうなるか。企業が銀行から多額の借金をしたが、経営破綻した。その企業はお気の毒だが、多額の資金を貸し付けた銀行の側も、借金を踏み倒されることで蒼くなるだろう。 同様に、中国も蒼ざめているのである。4月にスリランカ危機が顕在化して以降、中国は5億元(約103億円)もの緊急援助を行って、何とかラジャパクサ政権を支えようとしてきた。内訳は、米2000t、51万回分のナトリウム注射液などだ。 威振宏(い・しんこう)駐スリランカ中国大使は、6月29日にペライラ投資促進大臣と、翌30日にはペリス外相と、立て続けに
安倍元首相の訃報を受け、日本大使館を弔問した尹錫悦大統領(提供:South Korea Presidential Office/AP/アフロ) 韓国では尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が誕生してからというもの、毎日のように「日本の参議院選挙さえ終われば日韓関係が進展するだろう」と言われてきた。参議院選挙は終了したが、果たして韓国側が想定していた通りに事が進むだろうか。 まずは韓国メディアが尹政権誕生から現在まで、日本の参議院選挙について言及した膨大な記事の中から、いくつかご紹介しておこう。 ◎「自由な日本旅行は可能?日本の入国政策を確認してみたら(NEWSTOF/2022.05.24)」 韓国だけ優先的にノービザになるのは難しい。その上、韓日関係が国内政治に影響を及ぼすという日本国内の“認識”が定着している。韓国は早い段階からノービザの対象になる可能性は高いが、現時点では政治的理由によって
首都キーウの占領を目指したロシア軍の第1段階作戦は失敗し、現在はウクライナ東部の2州(ドネツク州とルハンシク州)の完全占領を目指した第2段階作戦を遂行中だが、作戦目的を達成していない状況だ。 世界はこの戦争の影響に苦しんでいる。つまり、世界はウラジーミル・プーチンがいなくなることを望んでいる。 戦闘レベルでみると、ロシア軍が4月以来重視してきたセベロドネツク(Sievierodonetsk)の占領は6月26日になってようやく達成され、リシチャンスク(Lysychansk)を除いてルハンシク州のほぼ全域を占領することになった。 ロシア軍は現在、リシチャンスクを攻撃していて、その占領は遠くないかもしれない(図1参照)。 ロシア軍は今後、バクムト、クラマトルスク、スロビヤンスクなどドンバス西部の主要都市を支配するための作戦を継続すると思われる。しかし、簡単に攻撃が進捗することはないであろう。 図
韓国・釜山から望む対馬。海底トンネルが実現すれば、日韓が直に結ばれることになる(写真:Yonhap/アフロ) きっかけとなった出来事が二つある。 一つめは、政治団体「参政党」の新開裕司福岡支部長が自民党の国会議員時代である2019年に、統一教会(現:世界平和統一家庭連合)の記念行事に参加して祝辞を述べ、日韓海底トンネルを推進する発言をしたことが明らかになったこと。もう一つは、西日本新聞が「韓国政権交代で、日韓トンネル実現期待」という記事をネットに掲載したためである。 【関連記事】 ◎韓国政権交代で、日韓トンネル実現期待 参政党に関しては、同党候補者の神谷宗幣氏が「日韓海底トンネルに反対だ」と見解を述べ、事態を収拾させようとしている。 神谷氏は「統一教会が自民党を応援しているから、自民党の議員が会に参加する。新開氏の発言はその時のもの」「新開氏は自民党を離党して参政党に入った。彼は統一教会の
プロローグ ロシア軍のウクライナ侵攻後の油価上昇 ロシア軍は2022年2月24日、ウクライナに全面侵攻開始。ロシア軍侵攻後、油価は上昇しています。 しかし、大幅上昇しているのはロシア(露)の代表的輸出原油ウラル原油以外の原油です。 石油と原油は内容が異なります。しかしこの点を理解していないマスコミ報道が多いので、本稿では石油とは何か、ロシア産ウラル原油とは何か、油価とロシア産石油・ガス輸出の現状を考察したいと思います。 地下数千メートルから採取される原油は鉱区別に性状・品質が異なるので、油価は異なります。 比重で大別すると、重質油・中質油・軽質油になり、コンデンセート類(天然ガス液など)のように超軽質油(別名「天然ガソリン」)の品種も存在し、通常の原油より高値で取引されています。 露ウラル原油は中質・サワー原油(硫黄分含有量1%以上)なので、軽質・スウィート原油(硫黄分0.5%以下)よりも
新疆ウイグル自治区を訪問し、広州市にいる中国公安部の杜航伟副部長とオンライン会議を行う、国連人権高等弁務官ミシェル・バチェレ氏(左から2人目、2022年5月24日、提供写真:United Nations High Commissioner for Human Rights/AP/アフロ) (勢古 浩爾:評論家、エッセイスト) 5月26日、ドイツ人研究者のエイドリアン・ゼンツ博士がウイグル収容施設・内部資料を「新疆公安ファイル」として公開した。ウイグル人の虐待の事実や、収容者280人の顔写真、また「(囚人が)数歩でも逃げたら射殺せよ」とか「習総書記を核心とする党中央を安心させよ」などの、共産党幹部の命令内容が明らかにされた。 この情報を受けた世界14のメディアは、収容所リストの裏付け調査をし、専門家にも流出写真の鑑定依頼をした。毎日新聞は「情報の信ぴょう性と社会的意義から報道する価値があると
第2回中国・太平洋島嶼国外相会議において共同会見する中国の王毅外相とフィジーのバイニマラマ首相(2022年5月30日、提供:Fiji Government/AP/アフロ) 最悪の事態とは、中国と太平洋島嶼国10カ国とが、警務、安全保障、海事、データセキュリティなどを含む包括的な地域協力合意の草案について、5月30日にフィジーの首都スバで行われる中国・太平洋島嶼国外相会議において調印することだった。この地域協力合意の草案は、ロイターなどによって5月25日にスクープとして報じられた。だが、結果的にこの合意の調印はされず棚上げされたのだった。 こんな合意がなされた日には、南太平洋地域が事実上、中国軍事支配圏に入りかねず、太平洋地域の安全保障枠組みが大きく揺らぐところだった。特に、中国の軍事的脅威にさらされている台湾や日本にとっては、太平洋側から挟み撃ちにされかねない状況になる。 だが調印の棚上げ
ウクライナ軍は4月頃から、同国で2番目に大きい都市ハルキウ正面で、ロシア軍に対して反撃を行い、特に5月から攻勢をかけ、5月17日にはハルキウの大部分を奪還した。 この成果は、ロシア軍が特に攻勢を仕掛けるハルキウ州の都市イジュームの後方連絡線を遮断しようとする狙いで、米欧から供与された兵器を実際に運用できるようになったことにある。 ロシア軍からしてみれば、損失の多さからくる戦意の喪失などが重なった結果なのであろう。 ここには、ウクライナ軍の作戦戦術の巧妙さが見える。 その巧妙さは、現在、ウクライナ軍とロシア軍が戦っている長い正面幅の中で、ロシア軍攻撃の弱点であるハルキウに戦力を集中していることにある。 ウクライナ軍の作戦戦術の巧妙さについて、ロシア軍の地上戦全般の作戦戦術とこの弱点を突くウクライナ軍の作戦戦術について説明する。 1.作戦幅の長さから見える露軍の弱点 ロシア軍は現在、北からハル
当初は、5月9日のロシアの対独戦勝記念日までには決着を見る、との予想も出ていたが、そうはならなかった。 妥協による停戦か、いずれか一方の決定的敗北か、のどちらかでしか終結しないことは明らかなのだが、それがいつ、どちらに転ぶのかを誰もまだ、しかとは予想はできずにいる。 西側のロシアへの対処について、犠牲者をこれ以上増やさぬためにはウクライナ・西側の妥協が必要と唱える主張と、この妥協を否定する側との間で見解が分かれている。 現在と将来のそれぞれの犠牲のいずれを重く見るのかという、理屈では勝負が付かない価値判断論争でもある。 現状では多数を占めると見える非妥協派も、今の犠牲者がさらに増えることを積極的に肯定などできはしない。 打倒ロシアの掛け声は勇ましく聞こえても、誰の犠牲でそれが可能なのかと問われれば押し黙るだけだろう。 それでも、ロシアを打ち破ることが叶うかもしれないという期待は増しているよ
5つの「ありがち」フレーズ ここ2か月、日本発のロシアに関するニュースやコメントでよく使われているが、ロシア暮らし9年目でロシア社会を取材してきた筆者にとっては、違和感があるフレーズがある。 「情報統制が厳しく正しい情報が伝わっていない」 「ロシアはありえない国」 この5つだ。本来のロシアの姿が「ロシアA」であるとするなら、上記5つの要素が合わさってニュースに登場することによって、日本人の中に「ロシアB」という、実態とズレたイメージが形成されているような気がする。 そのせいで、日本人が「ロシアB」を懲らしめて反省させるにはどうすればいいか考えている時に、肝心の「ロシアA」は痛くも痒くもない、ということになる。 ロシアAにおける価値観や世界観は、一般的な日本人のそれとはだいぶ違っている。それを順番に説明していきたい。 まず「対露制裁を強めれば国民が立ち上がる」説は、真逆の結果になる。 「ロシ
ウクライナ侵攻とジュネーブ第4条約 ウクライナにおけるロシア軍の残虐非道の行為が次々に明るみに出ている。 特に、ロシア軍が撤退したウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊「ブチャ」での市民の大量虐殺は目を覆うばかりだ。 さらに、イルピン、ホストメリなどブチャ以外での残虐行為も報告されており、侵攻したウクライナの広範な地域で「ジェノサイド(民族大量虐殺あるいは集団殺害)」と指摘される人類最悪の行為が行われていると見られている。 また、ロシア軍は、紛争地域において住民の拘束と強制移住、露語教育、通貨ルーブルの使用、メディア統制などの「ロシア化」を強制しており、その中には明白な国際法違反と認められる行為がある。 武力紛争時または占領の場合における文民の保護に関しては、1949年ジュネーブ第4条約(文民保護条約)および1949年ジュネーブ条約第1追加議定書(以下、追加議定書)に詳細な規則が定められてい
対艦ミサイル1発が中国の台湾侵攻阻止 4月13日、ロシア海軍ミサイル巡洋艦「モスクワ」がウクライナの対艦ミサイル「ネプチューン」に攻撃され、沈没した。 ウクライナはミサイル攻撃を認め、米国国防省も対艦ミサイルが命中したことを確認したという。 だが、ロシア軍は、モスクワにミサイル攻撃されたことを認めず、火災が発生したからだと言った。 過去、旧ソ連海軍時代から今まで、大型戦闘艦艇(潜水艦を除く)が、火災を起こして沈没したことを聞いたことがない。 しかし、ロシア軍も内心は認めている。なぜなら、そのことに怒り、報復のために、キーウをミサイル攻撃したからだ。 一方で、中国は、露ウ(ウクライナ)戦争を、これまでは高みの見物だった。 だが、ロシア巡洋艦がミサイル1~2発に攻撃されて、それを破壊できずに命中弾を受け、沈没したのを見た。中国は、大変肝を冷やしたことだろう。 その理由について説明する。 1.モ
ウクライナ侵略戦争ではロシア軍の意外な弱さが浮き彫りになっている(写真は数々の実戦を経験して百戦錬磨の米海兵隊=4月6日撮影、米海兵隊のホームページより) ウクライナ戦争の影響はインド太平洋へ 中国とロシアの関係性:中国の曖昧な態度・姿勢に隠された思惑 ウクライナ戦争の影響は、欧州にとどまるものではない。 この戦争は、グローバルな視点からすれば「民主主義対専制主義・強権主義」の戦いであり、ウクライナは世界の民主主義国の盾となって戦っており、インド太平洋における日米台などの中国の覇権拡大に対する戦いと同じ位置付けだ。 また、ロシアと中国は、対米・対西側で共闘する「全面的戦略協力パートナーシップ」の関係で緊密に繋がっており、中国はロシアの行動を「侵攻」「侵略」と認めないばかりか、直接・間接的に支持している。 さらに、ウラジーミル・プーチン大統領と思想・行動の面で軌を一にする習近平国家主席は、世
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