紀伊徳川家に譲られた徳川家康の遺品「駿府御分物」の一部を写したとみられる目録が初めて見つかった。尾張、水戸、紀伊の御三家のうち紀伊の遺品目録だけが見つかっておらず、現存する国宝や重要美術品が記されていた。専門家は「作っていないとの説もあった紀伊の目録の存在が裏付けられた。書画などの由来が家康までたどれる非常に貴重な史料」としている。(夏井崇裕) 新たに発見された徳川家康の遺品目録の写し。書画の筆者名に「雪舟」「行成」「一休」などの文字が並ぶ(宮帯出版社提供) 美術品や和書を収集する 宮帯みやおび 文庫(京都市)が昨年、古書店から購入した。目録の表紙には「御分物 御譲物 御数寄御道具」という表題と、1673年に書き写した旨を記す。御分物として茶道具や書画約90件が列記されていた。 目録にある「漁村夕照 牧渓筆」は、根津美術館所蔵の水墨画「漁村夕照図」(国宝)とみられる。家康の遺品と伝わってい