鹿はフォトジェニックな動物だ。バランスのとれた体つきをしている。雄だったら角がかっこいい。薄茶色の毛に浮かぶ白い水玉模様も、いいアクセントになっている。ただ、態度はぶっきらぼう、かつ臆病だから、写真を撮ったあとにはなんだか、ちぇっ、と思わせられもする。 関西で鹿、といえばすぐに奈良を思い浮かべてしまうけれど、大阪にも鹿は居る。「秋鹿」だ。新幹線の新大阪駅、25、26番線ホームの売店には、いつも秋鹿のワンカップが並んでいる。おつまみと缶ビールのあいだでオレンジの鹿が跳ねているのは、とてもいい眺め。その蓋には「純米酒 千秋」とある。 単にラベルが貼られただけではなく、ガラスに直に絵柄が刷られている、こういうワンカップは迷いなく買って帰ってしまう。飲み終えたあとには、ペンや化粧道具を立てておいたり、あるいは、冷蔵庫に一時的に保存しておきたい少々のお茶やめんつゆなどを入れておいたり、そうやって