『リバーズ・エッジ』の終盤に「この街は悪疫のときにあって」ではじまる、とても、とても素敵な詩がある。作者はウィリアム・ギブスン。そうあのサイバーでパンクなSF作家のウィリアム・ギブスン。『リバーズ・エッジ』を読むまで、彼が詩を書いていたと知らず、いやそもそもそこに引用された詩とギブスンという名前が、あのギブスンと繋がらず、友人に教えられて驚いたことを覚えている。その後、ネット上にあった(ある)「八本脚の蝶」で、この詩には三つのパートがあるということ、詩集があるわけではなくロバート・ロンゴという人の写真集に収録されているということ、その本は京都書院という版元からでていたということ、などを知り、読んでみたいとは思ったものの、版元は倒産し、現在は手に入らない、というようなことが書かれていた。ただ幸いなことに「八本脚の蝶」に三つのパートすべての和訳が引用されていて*1、それを読み満足していた。さて