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bookに関するyuisekiのブックマーク (144)

  • 『性倒錯者 だれもが秘める愛の逸脱』無限に広がる、奥深き性愛の世界 - HONZ

    冒頭の一文から引き込まれる。「あなたは性的に逸脱している。まったくの倒錯者だ」ときたものだ。 そして息もつかせぬ間に「手始めに僕から行こう。」と、自身の性遍歴を語り始める。思春期の頃にネアンデルタール人の裸に興奮を憶えたこと、高校生の時に想いを寄せていた男子が捨てたコーラの空き缶に興奮したこと、初体験の相手が足フェチのゲイであったこと…。 著者が、前著『ヒトはなぜ神を信じるのか』のジェシー・べリングであることを知っている人でなくても、驚きのエピソードの数々だろう。そして『ヰタ・セクスアリス』のような告白の後は、無限の領域に広がる「性愛」の世界を限界まで見せてくれる。 書『性倒錯者 だれもが秘める愛の逸脱』はヒトのセクシュアリティについていま開花しつつある新たな科学と、もっとも奇妙な形のセクシュアリティのケーススタディーを重ねあわせることによって、「性倒錯者」という存在の核心に迫ろうと試み

    『性倒錯者 だれもが秘める愛の逸脱』無限に広がる、奥深き性愛の世界 - HONZ
  • 小保方晴子『あの日』 - 今日もてんてこ舞

    2016 - 02 - 07 小保方晴子『あの日』 あの日 作者: 小保方晴子 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/01/29 メディア: 単行 この商品を含むブログ (11件) を見る 研究者が自らの研究人生を語るとき,成功に向かう栄光の過程が綴られることは多くても,失敗へと向かう破滅の過程が綴られることはきわめて少ない。書はそれが世間を揺るがした大スキャンダルについての手記ということもあり,発行が報じられた瞬間に大きな話題となった。印税に貢献するのが嫌だから買わないとか潔癖な意見が多く聞かれる中,私はこの報道を見てすぐに買おうと思った。発覚以来,公の場では決定に対する不服めいたことしか発表していないように思われる小保方さんが語る事件の「真相」にはもちろん興味があったし,博士論文の総仕上げ段階である今読めば,何らかの形で他山の石となるのではないかとも思ったからである。紙の

    小保方晴子『あの日』 - 今日もてんてこ舞
  • 読書メモ:心はすべて数学である - 重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)

    心はすべて数学である 作者: 津田一郎 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2015/12/09 メディア: 単行 この商品を含むブログを見る 日のカオス研究の第一人者であり、最近はカオス理論と脳を結びつけた研究で知られる津田一郎先生の新刊。書では、著者のライフワークである脳と心と数学と複雑系科学の関係について語っている。編集者からの質問に答える形でまとめたものだそうだ。 まず、タイトルが『心はすべて数学である』である。野心的な命題だ。この命題をメイク・センスするためには、「心」や「数学」や「である」を定義しなくてはいけない。「心」も「数学」も、それぞれ難しい概念で、ナイーブに分かっているつもりでも言葉で言い表そうとしたとたんゲシュタルト崩壊してしまうところがあるので、それらについて語るならば、どういう立場で「心」や「数学」を捉えますよ、というところから始めてほしい。しかし、この

    読書メモ:心はすべて数学である - 重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)
  • 『世界システム論講義』はスゴ本

    「なぜ世界がこうなっているのか?」への、説得力ある議論が展開される。薄いのに濃いスゴ。 世界史やっててゾクゾクするのは、うすうす感じていたアイディアが、明確な議論として成立しており、さらにそこから歴史を再物語る観点を引き出したとき。「こんなことを考えるの私ぐらいだろう」と思って黙ってた仮説が、実は支配的な歴史観をひっくり返す鍵であることを知った瞬間、知的興奮はMAXになる。 たとえば、「先進国(developed)」と「途上国(developing)」という語に、ずっと違和感があった。「後進国」は差別的だからやめましょうという圧力よりも、この用語そのものが孕む欺瞞を感じていた。 なぜなら、この語の背景として、近代化・工業化が進むというプロセスがあるから。なんなら、進化のメタファーを使ってもいい。産業構造が一次から高次に転換するとか、封建社会から資主義社会に"進化"するといった欧米の経済

    『世界システム論講義』はスゴ本
  • 『シンギュラリティ 人工知能から超知能へ』訳者あとがき by ドミニク・チェン - HONZ

    人工知能(artificial intelligence)という言葉は、二重の問題を投げかけている。知能を人工的に再構築することができるのか、という問いと、そもそも知能とは一体何なのか、という問いである。人間の知能の全容がまだ解明されていないのにもかかわらず、その機械的な再構築を試みようとする過程を通して、逆に人間の知能とは何かということが浮き彫りになってきている。 書は、MIT PressのEssential Knowledgeシリーズの一冊として書かれた。このシリーズは、表面的な説明や意見が溢れる時代において、非専門家にとっても質的で批評的な視座を与えることを目指している。書は、現代社会が到達した、もしくは近い将来到達するであろうテクノロジーの水準の内実に光を当てながら、機械的な知能の条件から人間の知能の質を逆照射するような一連の思考実験を提供する。そうして著者のシャナハンは、

    『シンギュラリティ 人工知能から超知能へ』訳者あとがき by ドミニク・チェン - HONZ
  • 『「全世界史」講義 教養に効く! 人類5000年史』 学びを超えた知的エンターテインメント - HONZ

    のっけから著者に反論申し上げたいことがある。出口さんは「まえがき」で、「積み重ねられた歴史を学んで初めて、僕たちは立派な時代をつくれるのではないか」という。つまり書は良き未来を創りあげるという目的のために、テキストとして読むことができると言っているように聞こえるのだ。 たしかに歴史から学ぶべきこと、いや書から学べることはあまりにも多い。それは歴史だけでなく、生き様や人間関係、組織経営に至るまで、読んでいて気付かされることが多いのに驚くばかりだ。 しかし、書は時代をつくるという崇高な目的のためだけのものではないように思われるのだ。いやそれ以上に、純粋に読む愉悦に浸ることができるだと断言できる。これからの時代を考えることはひとまず脇に置いて、早く次のページを開きたいと思わせる書は高度に知的なエンターテインメントでもあるのだ。 書を読むときのイメージは「人類5000年史」という名

    『「全世界史」講義 教養に効く! 人類5000年史』 学びを超えた知的エンターテインメント - HONZ
  • カオスちゃんねる : 衝撃的だった奇書または実験小説

    2016年01月16日08:00 衝撃的だった奇書または実験小説 1: 吾輩は名無しである 2008/03/28(金) 09:03:13 例えば、 ジェイムス・ジョイス『ユリシーズ』  ・・わけわからん ジェイムス・ジョイス『フィネガンズ・ウェイク』 ・・読まれへん ロレンス・スターン『トリストラム・シャンディ』 ・・脱線しまくり大長編 ミロラド・パヴィチ『ハザール事典』 ・・どこからでも読める小説 レーモン・クノー『文体練習』 ・・絶対練習になってへん 夢野久作『ドグラ・マグラ』 ・・なんかもう泣きそう ジョルジュ・ペレック『人生使用法』 ・・強烈な精密描写 筒井康隆『虚人たち』 ・・1ページが1分で進む 小栗虫太郎『黒死館殺人事件』 ・・超難解ミステリ 中井英夫『虚無の供物』 ・・ミステリ三大奇書のひとつ のような、奇書または実験小説を語ろう 2: 吾輩は名無しである 2008/03/

    カオスちゃんねる : 衝撃的だった奇書または実験小説
  • 英米SF賞史上最多7冠受賞作『叛逆航路』は新たなるフェミニズムSFの潮流なのか? - メモリの藻屑、記憶領域のゴミ

    ■叛逆航路 / アン・レッキー ■英米SF賞史上最多7冠受賞作 ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞、アーサー・C・クラーク賞、英国SF協会賞、英国幻想文学大賞、キッチーズ賞の7冠獲得 二千年にわたり宇宙戦艦のAIだったブレクは、自らの人格を四千人の人体に転写した生体兵器〈属躰〉を操り、諸惑星の侵略に携わってきた。だが最後の任務中、陰謀により艦も大切な人も失う。ただ一人の属躰となって生き延びたブレクは復讐を誓い、極寒の辺境惑星に降り立つ……デビュー長編にしてヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞など『ニューロマンサー』を超える英米7冠、格宇宙SFのニュー・スタンダード登場! この『叛逆航路』、まずなんといっても《英米SF賞史上最多7冠受賞!》って所で「おお!」ってなりますよね。「『ニューロマンサー』『ねじまき少女』を超える受賞数!」なんて言われちゃうとさらに「おお!おお!」ってなっちゃいま

    英米SF賞史上最多7冠受賞作『叛逆航路』は新たなるフェミニズムSFの潮流なのか? - メモリの藻屑、記憶領域のゴミ
  • 『生涯を賭けるテーマをいかに選ぶか』サイショー先生が東工大にやってきた! - HONZ

    『絶対音感』、『セラピスト』、『星新一』など多彩なテーマの著作で知られる最相葉月さんが、東工大にて非常勤講師として前期の4ヶ月間行った講義の記録である。この講義は池上彰さんの誘いによって実現したそうだ。東工大生、色々とうらやましすぎる。 「生涯を賭けるテーマをいかに選ぶか」というタイトルから、最相さんが毎回どのように著作のテーマを選ぶかを話すのかと予想する人もいるかもしれないが、自身については自己紹介でさらっと触れる程度だ。取り上げられるのは様々な分野の研究者たちである。先人たちが取り組む研究の内容と、そのテーマに至るまでの人生、という2つの柱をもとに講義は進んでいく。 最相さんがいかに適役かということは、著作や記事を読んだことのある人なら容易に想像できるだろう。『セラピスト』で書かれた精神医学の中井久夫先生、『ビヨンド・エジソン』で書かれた博士12人の内の1人である地震学者の石田瑞穂先生

    『生涯を賭けるテーマをいかに選ぶか』サイショー先生が東工大にやってきた! - HONZ
  • 『コネクトーム 脳の配線はどのように「わたし」をつくり出すのか』 - HONZ

    心をつかさどっているのは心臓であると、かつては広く信じられていた。心臓はドクドクと拍動する特別な臓器であるうえに、気持ちが高ぶれば鼓動が速まりもするから、そう考えるのはごく自然なことだったろう。エジプトでミイラを作る際にも、心臓は大切に取り出され、別個にミイラ化されたのに対し、脳は、耳や眼窩、あるいは頭蓋にあけた小さな穴から搔き出され、捨てられていたようだ。人びとは古来、心の働きに多大な関心を寄せてきたが、脳がいったい何のためにあるのかはわからないままだった。 脳の研究と言えるようなものがはじまったのは、長い歴史をもつ人類の知の営みの中では、ごく最近のことでしかない。ようやく18世紀になって、人の性格や能力を脳に結びつける「骨相学」の考えが生まれた。19世紀になると、細胞に色をつける染色技術が発明されたおかげで、脳もまた多くの細胞からできていることが明らかになった。それは脳研究にとって画期

    『コネクトーム 脳の配線はどのように「わたし」をつくり出すのか』 - HONZ
  • [書評] イスラム国(著・アブドルバーリ・アトワーン、監修・中田考、翻訳・春日雄宇): 極東ブログ

    ではこの夏に翻訳されただが、原著の出版から遅れたわけでもない。扱っているのは表題通り「イスラム国」である。この表題が選ばれている理由も同書の初めに書かれている。全体として、比較的最近までの範囲で、イスラム国を知る上で重要となる基礎的な情報がバランスよくまとまっている好著である。 なにより、この種類のにありがちな、西側社会への偏向あるいはその裏側の憎悪といった情感的な色合いが引き寄せる文脈からはエレガントに脱していることは、沈着な書の文体からもわかるだろう。陰謀論的な記述もない。池上彰ならもっと手際よくまとめたかもしれないとも思えるかもしれないが、日人向けのわかりやすさから抜け落ちそうな微妙なディテールに含蓄深い陰影がある。 イスラム国をめぐる現状の混乱の、元凶とまではいえないが、大きな要因には、米国の中近東戦略と、フランスの中近東戦略がある。西側として見ると二国とも同一のように

    [書評] イスラム国(著・アブドルバーリ・アトワーン、監修・中田考、翻訳・春日雄宇): 極東ブログ
  • 残虐行為記録保管所 / チャールズ・ストロス - メモリの藻屑、記憶領域のゴミ

    残虐行為記録保管所 (海外SFノヴェルズ) 作者: チャールズ・ストロス,小阪淳,金子浩出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2007/12/14メディア: 単行購入: 4人 クリック: 64回この商品を含むブログ (49件) を見るイギリスSF作家チャールズ・ストロスの描くクトゥルー・スパイSF。『残虐行為記録保管所』『コンクリート・ジャングル』の長・中篇2作収録。クトゥルー神話というキーワード、そして『残虐行為記録保管所』という物々しいタイトルから、どれほど鬼面人を威すおどろおどろしい物語が描かれているのかと思ったが、読み始めてみると予想に反してどこかずっこけた味わいすらあるSF作品だった。映画『未来世紀ブラジル』を思わせる滑稽な官僚主義社会、ウィリアム・ギブソンが描いたかのような電脳ガジェットを操るナードな登場人物、アメリカンコミックで映画化もされた『ヘルボーイ』を髣髴させるナチス

    残虐行為記録保管所 / チャールズ・ストロス - メモリの藻屑、記憶領域のゴミ
  • 『数学する身体』僕が身体で感じていたことは、嘘でも無駄でも無かったんだ - HONZ

    発売されるやいなや大きな反響を呼んでいる、『数学する身体』。お待ちかねの客員レビュー第三弾は、はてな株式会社の近藤淳也さんが登場。「数学は情緒だ」という独立研究者・森田真生の言葉を聞いた時、近藤さんが直感的に感じたものとは何だったのか? (HONZ編集部) ※客員レビュー第一弾、第二弾 森田くんが初めて書いた。「数学する身体」。 わざわざ「を届けたいので」と、会社の近くまで足を運んでくれて、ランチを共にしながら渡してくれた。 構想ができてから書き上げるのに4年かかったという。 もともと、文章を書くときにはとんでもなく集中して、丁寧に言葉を積み上げて、何度も何度も読んで味わえるような、スルメみたいな精緻な文章を書く森田くんが、初めて1冊のを書いた、という。 もうそれだけで、読む前から、これはすごいだ、ということは分かっていた。 すごいというのは、とにかく、中身云々の前に、通常で

    『数学する身体』僕が身体で感じていたことは、嘘でも無駄でも無かったんだ - HONZ
  • 水利権を巡り暴力と死の横行する暗澹たる未来を描いたSFノワール『神の水』 - メモリの藻屑、記憶領域のゴミ

    ■神の水 / パオロ・バチガルピ ■『ねじまき少女』パオロ・バチガルピの最新長編SF作品 近未来アメリカ、地球温暖化による慢性的な水不足が続くなか、巨大な環境完全都市に閉じこもる一部の富裕層が、命に直結する水供給をコントロールし、人々の生活をも支配していた。米西部では最後のライフラインとなったコロラド川の水利権をめぐって、ネバダ、アリゾナ、カリフォルニアといった諸州の対立が激化、一触即発の状態にあった。敏腕水工作員(ウォーターナイフ)のアンヘルは、ラスベガスの有力者であるケースの命を受け、水利権をめぐる闇へと足を踏み入れていく……。『ねじまき少女』で化石燃料の枯渇した世界を描いた作者が、水資源の未来を迫真の筆致で描く傑作。 化けた。傑作SF小説『ねじまき少女』を書いたパオロ・バチガルピがさらにとんでもない領域へと大化けした。 『ねじまき少女』(レビュー)は地球環境悪化とテクノロジーの暴走に

    水利権を巡り暴力と死の横行する暗澹たる未来を描いたSFノワール『神の水』 - メモリの藻屑、記憶領域のゴミ
  • 『思いつきで行動してしまう脳と考えすぎて行動できない脳』菅原洋平 - ビジネス書をビジネスのチカラに。書評ブログ

    『思いつきで行動してしまう脳と考えすぎて行動できない脳』 思いつきで行動してしまう脳と考えすぎて行動できない脳 頭の使い方を少し変えたら、自分の弱みが武器に変わった! 作者: 菅原洋平 出版社/メーカー: KADOKAWA/メディアファクトリー 発売日: 2015/07/17 メディア: 単行 脳 行動と脳。 関係していますよね。 書では、思いつきで行動してしまう脳と、考えすぎて行動できない脳。 この違いについて書かれています。 ▼ ここに注目 ▼ 「わかった!」までの4つの道筋(p.036~) 1 直感 2 置き換え 3 まとめ 4 法則 わかるまでの4つの道筋 わかった!と思うまでの道筋には、上のような4つがあるということです。 直感だけではないということですね。 たしかに、人間はこういう理解の仕方をするというのはありますね。 脳がやる気になる条件 「脳がやる気になるには、2つの条

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  • 意識は過大評価されている──『意識と脳――思考はいかにコード化されるか』 - HONZ

    意識をめぐるは最近も『意識はいつ生まれるのか――脳の謎に挑む統合情報理論』や『意識をめぐる冒険』が職の神経科学者によるノンフィクションとして発表されるなど、翻訳(と出版)が比較的に途絶えない分野である。書の著者もまた職の認知神経科学者ではあるが、特異性は徹底した実証に基づく意識の定義、およびその応用可能性についての地道な記述であろう(他の著者が実証に基づいていないわけではなく、アプローチの違いであることは後述)。 書では哲学的な謎を、実験によって検証可能な現象へと変えた戦略を詳しく解説する。この変化は「意識のより明確な定義」「意識的知覚を実験によって操作できるという発見」「主観的な現象に対する尊重」という三つの要素によって可能になった。 書の構成は意識の定義、無意識及び意識の働きの実証的考察、意識に関する理論的仮説の提起、臨床現場への応用事例と段階を踏んで、かつ自身らの物を含む

    意識は過大評価されている──『意識と脳――思考はいかにコード化されるか』 - HONZ
  • 身体のリバースエンジニアリング『人体 600万年史』

    完成品を分解したり観察することによって、動作原理や設計・仕様を調査することをリバースエンジニアリングという。これを「人体」に適用したのが書になる。 しかし人体は「完成品」ではないし、設計図からデザインされたものですらない。その時々の環境に応じて「生きる」「殖える」ことを目的とし、変化を重ねてきた。人の身体には、パリンプセストの羊皮紙のように何度も消しては書かれてきた跡が見えるという。「私たちの身体には物語がある」と断言する著者は、そうした人体と環境の変化を、ときには精緻に、ときにはドラマティックに明らかにしてくれる。 非常に面白いのは、「人の身体はなぜこのようになっているのか」というアプローチから迫ってゆくうち、「人は何のために生きるのか?」への回答がなされていること。人類の祖先との身体構造の違い―――長い脚、高い鼻、大きな頭といったパーツから始まって、なぜべ物を喉に詰まらせるのか(気

    身体のリバースエンジニアリング『人体 600万年史』
  • 【読書感想】新しい道徳 「いいことをすると気持ちがいい」のはなぜか ☆☆☆☆ - 琥珀色の戯言

    新しい道徳 「いいことをすると気持ちがいい」のはなぜか 作者: 北野武出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2015/09/10メディア: 単行この商品を含むブログ (18件) を見る Kindle版もあります。 新しい道徳 「いいことをすると気持ちがいい」のはなぜか (幻冬舎単行) 作者: 北野武出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2015/10/09メディア: Kindle版この商品を含むブログ (2件) を見る 内容紹介 二〇一八年、道徳を教科化? だけど、その前に……、 『日人にとって、「道徳」とは何か?』 この問いに答えられる、親や教師はいるのだろうか。 まず最初に大人たちが、真面目に考えた方がいい。 稀代の天才が現代の核心をえぐる、未だ嘗てない道徳論! 北野武さんによる「道徳論」。 北野さんは、世間で偉い人たちが子どもたちに教えようとしている「道徳」の矛盾に、遠慮なく斬りこ

    【読書感想】新しい道徳 「いいことをすると気持ちがいい」のはなぜか ☆☆☆☆ - 琥珀色の戯言
  • 1290 夜 | 松岡正剛の千夜千冊

    神々の沈黙 意識の誕生と文明の興亡 ジュリアン・ジェインズ 紀伊国屋書店 2005 Julian Jaynes The Origin of Consciousness in the Breakdown of the Bicameral Mind 1976 [訳]柴田裕之 原始古代のある時期まで、 人類の脳はバイキャメラル・マインド状態にあった。 それがあるとき崩壊して、やがて「意識」が生まれた。 その意識をつくったのは「言語」だった。 比喩の力と物語の力のせいだった。 そんな途方もない仮説を ジュリアン・ジェインズが構想した。 それにしてもバイキャメラル・マインドとは何なのか。 あまりに大胆な仮説と構想に、 多くの者は呆然とし、そして沈黙してしまった。 いま、その一端を蘇らせてみたい。 火元 君たち、連想は得意だよね。 学衆 編集術の基ですからね。 火元 じゃあ、制限連想は? 学衆 まだ

    1290 夜 | 松岡正剛の千夜千冊
  • 踊る猫さんの書評 コミュ障 動物性を失った人類 正しく理解し能力を引き出す【本が好き!】

    貴方の周りにも居るかもしれない『コミュ障』。でも彼らは単なる『困ったちゃん』なのか? 実は彼らこそ人間らしいのではないだろうか? 身近なトピックを話題に、霊長類科学者が切り込む。非常に面白い『エッセイ』。 A「さて、今回紹介するのは正高信男さんの『コミュ障 動物性を失った人類』です」 B「この人、ベストセラーになった『ケータイを持ったサル』の筆者なんだよね。幸か不幸かおれたちは『ケータイを持ったサル』を読んでない。ただ、おれの知る限りかなりこっ酷く評価されているの書き手として印象に残っていた。科学的な厳密さに欠ける、というね」 A「それで、読んでみたんですけれど……」 B「あと、おれたち……というかおれは、基的にこので書かれている『コミュ障』に当てはまると思います。周囲に居るんじゃなくて当事者ね。具体的には発達障害者という生まれ持っての素因が働いている。それで、なにかの助けになるんじ

    踊る猫さんの書評 コミュ障 動物性を失った人類 正しく理解し能力を引き出す【本が好き!】