文庫化されたので読んでみたら、これが創作と受け手側が交わった時、どのように「快楽が発生するのか」といった分析や、フィクションが他者に伝わるとはどういうことかを分析した「記述と物語の関係」、また「物語はどの程度必要なのか?」といった原理的な問いが語られていて、その内容がいちいち腑に落ちた。佐藤亜紀さん自身現役の小説家でありながらこういうことが書けるのは凄いなあ。 文学が何を伝えようとしているのかと、それを端的に表せば音楽で言うところのリズム、響き、旋律、あるいは反復により現れる全体の構造、そうした「形」であると本書ではいいます(後述しますが、記述の運動といいます)。『文学も例外ではありません。人に何か伝えようとするなら、わかりやすく箇条書きしてチラシにでも書いて配れば充分でしょう(それさえも文学であり得るとは思いますが)』 これはたしかにいつも考えていることだ。「社会へ訴えたい」ことがあるん
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