2003.6.3 高野史緒と話をしていてふと気付く。 私はイギリス人の小庭作りとチロルの民家のベランダに一律ぶら下がっているベゴニアの鉢が死ぬほど嫌いだ。見ると叩き壊したくなる。 2003.6.12 亭主と一緒に新宿へ行って『戦場のピアニスト』と『シカゴ』を梯子。 どちらも非常にようござんした。 前者は、映像と色彩はしっかり設計されているし、第二次世界大戦中のワルシャワ史がさしたる不自然さも感じさせずに主人公の目の前を流れて行くし、なのにどこの人間にも損はさせないという点でもよくできている。つまり、同化ユダヤ人の中産階級はひたすらに可哀想だし(これが『神に選ばれし無敵の男』に出て来るようなディープなユダヤ人たちの悲劇だったら、無残な話だが、こっちの同情は少しく減じたように思う――ハシディズム大好きの私にしてからそうなのだから、他の日本人は尚更であろう)、大方のポーランド人のユダヤ人嫌いは隠
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そういう音楽を愛して楽しむしかない、ということの辛さとか、聴くことで自分が自分ではなくなる不自由さを感じない奴は、全員、石器時代の人間である。
初読。講談社刊行のものを角川文庫で再刊。講談社刊行の、麦畑を背に戦車が描かれた表紙が印象に残っていたが、読みそびれていた。ロシアの田舎地主の次男に生まれたヴァシリの物語。第一次戦争、ロシア革命の波が押 初読。講談社刊行のものを角川文庫で再刊。講談社刊行の、麦畑を背に戦車が描かれた表紙が印象に残っていたが、読みそびれていた。ロシアの田舎地主の次男に生まれたヴァシリの物語。第一次戦争、ロシア革命の波が押し寄せ、略奪と暴力が蔓延する土地で、ヴァシリもまた掠奪と暴力にて生き延びる。ヴァシリの生き様を、唖然と追いかける。本の中の世界は大変辛い状況だが、圧倒的な力に魅惑もされる。マッカーシーの「ザ・ロード」を思い出し、極限に置かれた人間の有り様について考えるが、答えは出ない。→ …続きを読む
G.K.チェスタトン ノッティングヒルのナポレオン 木曜の男 二十世紀について語りはじめるのに『ノッティングヒル』から始めるのは実に適切という気がする。シニシズムを超克して現れた理想が齎す破滅的な結末は、ある意味ではこの世紀の予言だったとも言える。最後に引かれた聖書の一節とその解釈もまた、虐殺の世紀の締め括りに捧げるに相応しい。 ギョーム・アポリネール 一万一千本の鞭 豪快なナンセンス。出藍の誉れとはまさにこのこと。 アルフレッド・ジャリ ユビュ王 何で、って言われても困るけど、好きなんで。 トーマス・マン 魔の山 笑える小説ではあるが(でも昔はみんなこれ、にこりともせずに読んだらしい)、別に傑作という訳ではない。ただし、第一次世界大戦とは何だったのかを知るには非常にいい小説ではある。 カフカ 審判 ヨーゼフ・ロート ラデツキー行進曲 聖なる酔っ払いの伝説 ゲルショム・ショレム ユダヤ神秘
【講座概要】 「歴史小説」と聞いて、みなさんは何を思い浮かべますか? 大河ドラマの原作でしょうか。あるいは、司馬遼太郎のいくつかの小説を思い浮かべるかもしれません。歴史は「事実」で、歴史小説は「fiction」だと思っている人もいるかもしれません。けれども、世の中には、もっと様々な「歴史小説」があります。 世界的に見れば、例えば20世紀イタリアの作家であるナタリア・ギンズブルクと歴史家カルロ・ギンズブルクについて、母のナタリアは歴史のような小説を書き、息子のカルロは小説のような歴史を書いたといわれています。ナタリア・ギンズブルクの小説は、大河ドラマのようなものとは大きく違いますし、アナール学派以降、歴史と文学との境界は曖昧になりつつあります。 そこで、今回のイベントでは、作家の佐藤亜紀さんをお呼びして、KUNILABOの秋山晋吾さん(歴史学)、西原志保さん(文学研究)で、歴史と文学の関係に
ii 国民の神話としての歴史小説 日本人はそもそも歴史好きです。と言うより、天下国家好きです。人口の大半の先祖が農民や商人や職人であったにも拘らず、武士――それも天下国家を動かす地位の高い武士に自分を準えて歴史を認識するのが好きです。識字率が高いので、明治以前、つまり公教育が一般化する以前でも、当時の一般教養に含まれていた中国の史書を農民の一部上層でさえ読み、直接漢文を読めない人々の為には物語的にリライトされたものが流通し、自国の歴史についても歌舞伎や講談や一般向けの物語化された出版物として読んで、楽しんでいました。こういうものの展開と影響については、専門の研究者にお任せします。 明治期以降は数多くの作家が近代文学の形式で歴史を扱うようになりますが、必ずしも今日日本で歴史小説と呼ばれるものばかりではなかったことは、一方に島崎藤村の「夜明け前」、他方に森鴎外の史伝を置けば明らかでしょう。前者
1944年にブダペシュトを発ち、道中、保管庫に立ち寄ってお宝をごっそり積み込んだ通称・黄金列車。その約4か月に亘る迷走劇を、積荷の管理を命じられた大蔵省の中年職員らの奮闘を軸に描いた傑作。 2020/05/09 【ポスト・ブック・レビュー 著者に訊け!】 第二次世界大戦末期、文官としての交渉術でユダヤ人の財宝を守った役人たちを 硬質な文章で描出する傑作 『黄金列車』 1800円+税 KADOKAWA 装丁/柳川貴代 装画/西村隆史 佐藤亜紀 ●さとう・あき 1962年新潟県生まれ。91年『バルタザールの遍歴』で第3回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。03年『天使』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、08年『ミノタウロス』で第29回吉川英治文学新人賞など、ジャンルや国境を軽々と越えた物語群で読者を魅了する博覧強記の人。音楽にも精通する。「いずれはヨーロッパのどこか、物価がなるべく安い国に
【スカートのアンソロジー】「小説宝石」10月号に佐藤亜紀氏「スカートを穿いた男たちートマス・アデリン『黒海沿岸紀行』抜粋」(一方女たちは質素なズボンを穿く民族)と藤野可織氏「スカート・デンタータ」(スカートに歯が生えて尻の感触を得… https://t.co/Z36WWWMRut
二十世紀初頭、義父を失い孤児となったジェルジュ・エスケルスは、特異な「感覚」故に、オーストリア帝国の諜報機関を指揮する「顧問官」に引き取られる。
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