今回はナチスドイツ時代を舞台にした小説2冊について取り上げます。 極力ネタバレしないように努力しますが、多少内容に触れる箇所がありますのでご了承下さい。 ①佐藤亜紀著『スウィングしなけりゃ意味がない』(以下①) ②深緑野分著『ベルリンは晴れているか』(以下②) ①は第二次世界大戦中のドイツが舞台。当時敵性音楽とされたスウィングに魅了された少年の物語。モチーフになっているスウィング・ボーイズは実在したそうな。 一方②は第二次世界大戦後、1945年8月のドイツを現在として話は進みます。両親をナチスドイツに殺された少女・アウグステが主人公です。主な舞台は戦後ですが、幕間としてアウグステの過去、つまりナチスドイツが現れる辺りから戦時中にかけても描かれているので、実質ナチスドイツ時代がテーマと言っていいでしょう。 両者とも読後は(異論もあるかと思うが)爽やかな印象も受けるが、それぞれの主人公が辿った
