第31回:伊坂 幸太郎さん 毎回さまざまな仕掛けと爽快なラストを用意して、読み手をうならせる伊坂幸太郎さん。今年には吉川英冶新人文学賞を受賞し、ますますこれからの活躍に期待が高まるところ。時に痛快に笑わせ、時に深い感動を呼ぶ、なんともいえない不思議な読後感を与えてくれる、その原泉はどこに? エンターテインメントを読みふけった中高時代から純文学に出会った大学生時代、そして最近の読書傾向まで、その変遷を語っていただきました。 (2004年5月更新) ――幼い頃はどんな本を読んでいたのですか? 伊坂幸太郎(以下 伊坂) : みんなと同じだと思うんですけれど、童話とか子供向けの江戸川乱歩などを読んでいました。あとよく覚えているのは、『まほうのプディング』という本。あんぱんマンみたいに、プディングで出来たお化けみたいのがいて、それをみんなが奪い合うんです。それも、ペンギンとかコアラだったりと、可愛い