文藝春秋デザイン部に所属し、数多くの本の装幀デザインを担当する大久保明子氏。著名な文学賞の受賞作品をはじめ、数多くのベストセラーや話題作を手がけてきた実績を持ち、装幀デザインのトップランナーのひとりといえるだろう。その大久保氏に、生い立ちからこれまでの歩み、デザインの進め方などをお話しいただいた。そこからうかがえたのは、プロフェッショナルとして本作りの仕事に携わることへの強い想いだった。 第1話 「自分の感覚を信じる」 『ナルニア国物語』で本にめざめる 小学校3年生の時に、担任の先生に『ナルニア国物語』の本を貸していただいて読んだのがきっかけで、本が大好きになりました。その年のクリスマスに、母にプレゼントは何がいいかと訊かれて『ナルニア国物語』全7巻のセットをもらいました。目の前に7巻ぜんぶが揃っているのを見て、本当に嬉しかったことをよく覚えています。 中学生になったら今度はマンガにはま