東芝の不正会計が発覚してから、約1年が経過しました。利益の水増し額は合計で2306億円にのぼり、複数の経営陣が引責辞任に追い込まれました。巨額の「粉飾決算」と呼んでも差し支えない会計操作で、証券取引等監視委員会が刑事告発を視野に調査を進めてきました。焦点になっているのがパソコン事業の「バイセル取引」です。東芝はなぜ“打ち出の小槌”のように見かけの利益を増やせたのでしょうか。 東芝はなぜ不正会計に手を染めたのか。結論から先に言えば、稼ぐ力を失った事業の内情を外部の目から隠そうとしたのが理由です。 経営不振の実態が明らかになると、株価が下落するだけでなく、株主や投資家からリストラを迫られることにもなります。東芝の経営陣はそうした事態を恐れ、決算書類をごまかすことで問題を先送りしてきたのです。 ではどのようにして、利益を水増ししてきたのか。不正の金額が最も大きかった、パソコン事業を例に見ていきま