2人の鈴木は部屋の最後方で肩を寄せ合うように着座し、これから始まる歴史的な記者会見に備えていた。子会社主導で、親会社を変える―。そんな嘘みたいで、考えられないことを3年をかけて実現させた。100人以上の記者でごった返す喧噪の中で、鹿島アントラーズで事業部門の責任者を務める鈴木秀樹は「ようやくだな」と安堵と覚悟がこもった言葉を向けてきた。チーム強化責任者を任せられる常務取締役の鈴木満は「これから変わると思うよ」と上気した表情に笑顔を交えて言った。 7月30日、Jリーグ理事会で鹿島アントラーズの経営権が日本製鉄(旧・新日鉄住金)からメルカリに譲渡されることが承認された。理事会終了から2時間後に、鹿島は会見を設定。Jリーグが拠点を置くJFAハウス(文京区)で行う会見としては「最多クラス」(Jリーグ)の記者がつめかけた。鹿島の庄野洋社長、メルカリ社の小泉文明社長らが登壇。よどみなく会見が進む光景を